NISAのつみたて投資枠では、2つ以上の銘柄を買う必要はありません。
つみたて投資枠の対象銘柄は、投資信託のみですが、投資信託は1銘柄だけでも分散投資ができているため、1つで十分です。
本記事では、NISAのつみたて投資枠で購入する投資信託は1銘柄だけでいい理由を解説します。
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NISAのつみたて投資枠で買う銘柄は1つでいい理由
2つ以上の投資信託の購入を否定するわけではありませんが、NISAのつみたて投資枠で買う銘柄は1つでいい理由があります。
その理由は以下の3つです。
これより詳しく解説します。
1つの銘柄だけでも十分な分散投資ができている
NISAのつみたて投資枠で買える投資信託は、1つの銘柄だけでも十分な分散投資ができます。
例えばeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)なら503銘柄、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)なら2,774銘柄に分散投資をしています(2024年3月29日現在)。
どれくらい分散投資をしているのかは銘柄によって差があるものの、S&P500やオルカン(オール・カントリー)であれば十分な分散ができているといえるでしょう。
2つ以上買うと投資先が被る可能性が高い
NISAのつみたて投資枠で銘柄を2つ以上買うと、投資先が被る可能性が高いです。
つみたて投資枠は、投資先に株式を含むものしか対象商品に選定されない仕組みのため、株式よりリスクの低い債券などに100%投資する銘柄が買えません。
世界の株式市場で最も規模が大きい国は米国で、たった1ヵ国で全世界の50%程度を占めます。
投資先が株式だけの銘柄を買う場合、投資先を米国以外の株式にしている銘柄を除いて米国株がメインの投資先になってしまいます。
例えば全世界の株式にまんべんなく投資をしている印象のあるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)でも、投資先の60%以上が米国株です。
【eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の国・地域別投資比率】
債券や不動産など株式以外にも投資をするバランスファンドならつみたて投資枠でも買えますが、投資先に「全世界株式」または「先進国株式」が含まれる場合は確実に米国株にも投資しています。
【ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)の投資先】
複数買っている人の大半が銘柄の主な投資先を理解していない
複数買っている人の大半が、銘柄の主な投資先を理解していない可能性があります。
特にeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の2銘柄を買っている人は、少なくとも全体の60%以上は米国株に投資していることを理解していないでしょう。
投資信託の平均保有数が3.6であることの要因として、商品性を理解していない投資家が購入銘柄を必要以上に増やしすぎている可能性が考えられます。
銘柄ごとの目論見書(投資信託の説明書)や運用レポート(月間レポート)をきちんと確認すれば、1つで十分なことはわかるはずです。
各金融機関のサイトで「投信」「銘柄検索」から銘柄名(の一部)を入力・検索すると、目論見書や運用レポートは簡単に確認できます。
NISAのつみたて投資枠で複数の銘柄を買うメリット
NISAのつみたて投資枠で購入する投資信託は1つだけで十分ですが、複数の銘柄を購入するメリットもあります。
そのメリットについて解説します
1.リスク分散になる
複数の銘柄を購入することで、ポートフォリオ全体のリスクを軽減できます。
各銘柄の運用方針や投資対象が異なるため、一つの市場や業界の変動が全体の運用成績に与える影響を抑えられます。
例えば、国内株式、海外株式、新興国株式などの異なる市場に投資する投資信託を組み合わせることで、地域的な分散も図れます。
この戦略により、長期的には安定したリターンを得やすくなります。
2.収益の拡大につながる可能性がある
複数の銘柄を購入することで、より多くの収益の拡大につながる可能性があります。
例えば、テクノロジー、ヘルスケア、エネルギーなど、異なるセクターに注目した投資信託を選ぶことで、各産業の成長を幅広く取り込めます。
また、大型株、中小型株、グロース株、バリュー株など、異なる投資スタイルの銘柄を組み合わせることで、市場環境の変化に柔軟に対応できます。
これにより、単一の銘柄では得られない多様な投資機会を活用し、長期的な資産成長の可能性を高めることができます。
3.投資戦略を柔軟に立てられる
複数の銘柄を組み合わせることで、自分のリスク許容度や投資目的に応じたカスタマイズが可能です。
例えば、安定したリターンを求めるなら債券型ファンドを含める、リスクを取って成長を狙うなら株式型ファンドを多めにするなど、戦略的なポートフォリオ構築ができます。
これにより、自分に合った最適な投資計画が実現できます。
NISAのつみたて投資枠で複数の銘柄を買うデメリット
続いてはNISAのつみたて投資枠で複数の銘柄を買うデメリットを解説します。
主なデメリットは以下の3つです。
1.管理に手間がかかる
複数の銘柄を保有すると、各投資信託のパフォーマンスや市場の変化を定期的に確認し、必要に応じてリバランスを行う必要があります。
これにより、時間や労力が増えることが考えられます。
特に投資初心者にとっては、情報の整理や判断に苦労する場合もあり、管理が負担になることがあります。
2.銘柄が重複する可能性がある
上述しましたが、複数の投資信託を購入する際、意図せず同じ資産や銘柄に重複して投資してしまう可能性があります。
例えば、複数の日本株ファンドを保有した場合、大型株や人気銘柄が重複して組み入れられていることがあります。
これにより、リスク分散の効果が薄れる可能性があります。
3.過度の分散によってリターンが希薄化する
投資銘柄を過度に分散させると、個々の銘柄のパフォーマンスが全体のリターンに与える影響が薄まり、結果としてリターンが期待以下になることがあります。
特に少額の投資では、分散しすぎるとリターンが低くなりがちで、成長の恩恵を十分に受けられない可能性があります。
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つみたて投資枠での投資信託の平均保有数は3.6
NISAのつみたて投資枠で買う銘柄は、1つに絞りましょう。
つみたて投資枠は、長期・積立投資に適した投資信託のみ購入できる仕組みです。
そもそも投資信託は、投資家から集めたお金を運用会社が複数の銘柄に分散投資をする商品のため、1つ買うだけで十分な分散投資ができます。
また投資信託を2つ以上保有しても、主な投資先はほとんど変わらない場合も少なくありません。
例えばeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の2つを購入した場合、投資先の上位5銘柄は全く同じです。
【組入上位5銘柄】
銘柄名 | 投資割合 (米国株式) | 投資割合 (オール・カントリー) |
---|---|---|
Microsoft (マイクロソフト) |
6.9% | 4.0% |
Apple (アップル) |
5.5% | 3.4% |
NVIDIA (エヌビディア) |
5.0% | 3.0% |
Amazon (アマゾン) |
3.7% | 2.3% |
Meta (旧フェイスブック) |
2.4% | 1.5% |
つみたて投資枠の対象となる投資信託は、必ず株式を投資先に含みます。
新興国株・日本株・欧州(ヨーロッパ)株を投資先とする商品を選ばない限り、ほぼ確実に米国株が入ります。
2つ以上買ったからといって利益が増えるわけではないので、NISAのつみたて投資枠で買う銘柄は1つだけで十分です。
投資信託協会が実施したアンケートによると、投資信託の平均保有数は3.6です。
【投資信託の保有数】
投資信託について分散投資ができる点を魅力に感じている割合は、保有経験者全体の52.5%にとどまっており、商品性を理解しないまま3つ以上買っている人が半数程度います。
どうしても2つ以上買いたい場合の銘柄選びのコツ
どうしても2つ以上買いたい場合は、できる限り投資先が被らない銘柄を選びましょう。
実際にどの銘柄を組み合わせればいいのか知りたい人はこちら
NISAのつみたて投資枠で買える銘柄はいくつある?複数買う場合の組み合わせも紹介
1.株式以外にも投資する銘柄を1つ以上選ぶ
リスクを抑えたい人は、株式以外にも投資する銘柄を1つ以上選びましょう。
株式以外にも投資する銘柄の例として、債券や不動産(リート)など株式以外にも投資をするバランスファンドが挙げられます。
NISAのつみたて投資枠では、株式を投資先に含む投資信託しか買えませんが、なかにはバランスファンドのように株式以外が投資先に含まれる銘柄もあります。
株式以外にも投資する銘柄を組み合わせれば、資産全体に占める米国株の投資割合が下がり、株価暴落時のリスクを和らげられるでしょう。
【株式以外にも投資する銘柄の例】
銘柄名 | 投資先 | 主な 販売会社 |
---|---|---|
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型) | 国内株式:25.3% 先進国株式:25.4% 国内債券:24.6% 先進国債券:24.8% |
SBI証券 楽天証券 |
Smart-i 8資産バランス 成長型 | 国内株式:9.2% 先進国株式:55.7% 新興国株式:9.2% 国内債券:3.1% 先進国債券:3.8% 新興国債券:4.6% 国内リート:4.6% 先進国リート:9.4% |
2.主な投資先が米国以外の銘柄を1つ以上選ぶ
米国以外の株式をメインの投資先にしたい場合は、主な投資先が米国以外の銘柄を1つ以上選びましょう。
つみたて投資枠の対象銘柄で投資先を株式のみとする銘柄のうち、日本株・新興国株・欧州(ヨーロッパ)株に投資する銘柄を除いて、大半が米国株を主な投資先にしています。
意識して米国以外に投資をする銘柄を選ばないと、2つ以上購入しても投資先のほとんどが米国株になります。
以下の表で米国以外の株式に投資する銘柄を紹介します。
【米国以外の株式に投資する銘柄の例】
銘柄名 | 主な投資先 (国・地域) | 主な 販売会社 |
---|---|---|
大和住銀DC国内株式ファンド | 日本 | SBI証券 楽天証券 |
iFree 新興国株式インデックス | 中国:32.5% 台湾:15.5% ブラジル:12.5% インド:10.4% |
|
フィデリティ・欧州株・ファンド | イギリス:19.9% ドイツ:19.6% フランス:16.5% スイス:9.2% デンマーク:8.0% |
ただしリーマン・ショック級の株価暴落が起きれば、日本株・新興国株・欧州株でも株価が暴落する可能性が高いです。
銘柄選びが面倒だと感じる人は、米国株式(S&P500)または全世界株式(オール・カントリー)を選べばいいでしょう。
3.信託報酬(コスト)の低い銘柄を選ぶ
購入銘柄数を問わず、できる限り信託報酬(コスト)の低い銘柄を選びましょう。
投資信託は、保有している限り半永久的にコストが発生し、投資家が間接的に負担しています。
信託報酬などのコストは、毎営業日計算され、投資信託の価格(基準価額)に反映されます。
つみたて投資枠は、信託報酬が一定水準以下の銘柄しか購入できません。
ただし銘柄によって信託報酬の差が大きく、低い銘柄の信託報酬は年率0.1%を下回る一方で、高い銘柄は年率1.65%もあります。
コストが年率1.0%変わると、年率5%のリターンが期待できる銘柄を月5万円積み立てる場合、10年間で利益が40万円以上変わります。
コストが高くてもリターンの高い銘柄はありますが、将来のリターンは誰にもわかりません。
将来の相場を誰にも予測できないと考えれば、できる限りコストの低い銘柄を選んでおくのが無難です。
【低コスト銘柄の例】
銘柄名 | 信託報酬 (年率・税込) | 主な 販売会社 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) |
0.05775%以内 | SBI証券 楽天証券 |
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) |
0.09372%以内 |
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まとめ|NISAのつみたて投資枠で買う銘柄は1つだけでいい
NISAのつみたて投資枠で買う銘柄は、1つだけで十分です。
つみたて投資枠の対象銘柄は、必ず株式が投資先に含まれており、全世界(オルカン)や先進国が投資先になっている投資信託は確実に米国株が含まれます。
米国以外の株価が上がる未来を予想する場合は、日本株・新興国株・欧州(ヨーロッパ)株に投資する銘柄を選ぶ手もありますが、長期的なリターンは米国株に劣ります。
2つ以上買おうとして銘柄選びに迷い、投資のタイミングを逃してしまうくらいなら、米国株式(S&P500)または全世界株式(オール・カントリー)を1つだけ買うほうがわかりやすいでしょう。
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