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(画像=株式会社コメ兵ホールディングス)
石原 卓児(いしはら たくじ)
株式会社コメ兵ホールディングス 代表取締役社長
1972年名古屋市生まれ
英国暁星国際大学卒業後、大手家電量販店を経て、1998年コメ兵に入社。
有楽町店店長、新宿店店長、営業企画、WEB事業、店舗開発、販売促進、マーケティング業務に従事。
2013年6月に株式会社コメ兵の代表取締役社長(4代目)へ就任。
2020年10月ホールディングス体制への移行と同時に、株式会社コメ兵ホールディングス代表取締役社長執行役員も兼任。
2023年4月より一般社団法人リユース業協会 会長へ就任
株式会社コメ兵ホールディングス
原点は創業者の石原大二が、戦後まもない、人々が着るもの食べるものに困っていた時代に、着物を中心とした衣類の売り買いをする行商を始めたことです。 1947年に古着屋「米兵商店」を名古屋大須に出店。貴金属やブランドの時計・バッグなど、消費者のニーズに応じて取り扱う商品を広げていきました。事業は順調な成長を遂げ、2003年9月に株式公開を果たしました。 翌年には東京に進出。その後も、大阪をはじめ全国に店舗展開を進め、買取・販売ともに拠点を広げていき、2020年に持株会社体制に移行。 現在では海外法人含む16社を抱え、国内ブランドリユースNO.1 のシェア※を誇ります。

※リユース市場データブック2023

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 上場前後の変化
  3. 歴史ある企業としての強みと実績
  4. 今後の展望について
  5. ZUU onlineのユーザーに⼀⾔

これまでの事業変遷について

—— 早速、これまでの事業の変遷について、ターニングポイントをいくつか踏まえてお聞かせ願えますか?

株式会社コメ兵ホールディングス 代表取締役社長・石原 卓児氏(以下、社名略):弊社は1947年創業で、今年で77年になります。戦後間もない頃、私の祖父が創業した会社で、名古屋の商店街に呉服の古着屋を立ち上げたところからスタートしました。当時、女性は着物を着ることが多く、男性は洋服が主流でしたが、着るものに困っていた時代でしたので、非常に繁盛したと聞いています。

そこから会社が少しずつ成長し、15年ほどで家電や家具等さまざまなモノを扱う総合リユース店のような形になりました。バブル期には百貨店や路面店にブランド品が並ぶようになったことで、弊社でもブランド品を扱い始めました。そこで、お客様からの高いニーズを確認したため、事業の中核商材をブランド品に変えました。

1996年には売上100億円を達成し、2003年にはIPOを行い、関東や関西にも進出しました。IPOは全国への展開につながる一つのターニングポイントだったと思います。

—— では、その後の展開について教えてください。

石原:国内で中古ブランド品を中心に業容を拡大する中で、さらなる成長を目指し経営の多角化を図るためには、新たな中古商材を見出し、育成していくことが不可欠と判断しました。2012年にタイヤホイールを扱うクラフトという名古屋本社の会社をグループ化し、事業の幅を広げました。2013年頃からは海外のお客様が増えたことから弊社も、香港に会社を設立し、B2Bの商売をスタートさせました。世界中のバイヤーが仕入れに来る法人向けのオークションです。以降、ASEANを中心に海外にリアルの店舗も出店しています。今年7月には北米に会社を設立させました。

株式会社コメ兵ホールディングス

—— ホールディングス化についてもお聞かせください。

石原:ホールディングス化は、各事業会社がお客様の声や現場の声をしっかり拾って、お客様に喜ばれるサービスをより早く展開していくために2020年に行いました。権限を各社にしっかり落とし込んで、各事業会社が自律して、苦しいコロナ禍でも早く回復することを目指していました。

M&Aも積極的に展開し、現在では、グループに17社(※2024年9月末時点)を抱えています。

—— なるほど、ありがとうございます。次に石原様ご自身にフォーカスできればと思いますが、入社から社長就任に至るまで、大きな課題や困難な壁をどのように乗り越えられてきたか教えていただけますか?

石原:コメ兵は、創業者が私の祖父で、二代目が父、三代目が叔父とファミリーカンパニーの会社です。創業家の長男として育ちましたが、葛藤の末、3年と期限を決め修行させていただくかたちでヨドバシカメラさんに就職させていただきました。しかし、ヨドバシカメラさんで接客の基本を学んで1年9ヶ月が経った25歳の頃、私の父親が病気で亡くなりました。ただ、いきなり経営はできない、まして私はコメ兵には籍がない状態でした。その後、コメ兵に入社し、店頭で買取販売のビジネスを10年ほど学びました。

—— その後、東京進出を果たされたとのことですが、その経験について教えていただけますか?

石原:はい、2003年にIPOを果たした後、東京に本格的に進出しました。最初は有楽町に220坪の店を出し、私が店長を務めました。その後、2005年に新宿の一等地で世界一の百貨店ともされる大手百貨店様の前の立地で、800坪の東京二号店「コメ兵新宿店」を立ち上げ、私が店長を務めました。

しかし、東京でのビジネスは、名古屋の歴史と知名度に支えられた信頼がなく、売上、買取りともに厳しい状況が続きました。特に、百貨店様の前で商売をすることは、お客様から商品や接客のレベルでも厳しく比較されるため、苦労しました。

しかし、この経験が後に、国内外で商売をしていく上で非常に良い経験になったと思います。商品の管理体制や接客レベルに至るまで、会社を大きく変えるきっかけとなりました。

上場前後の変化

—— ありがとうございます。上場前後での変化についてお伺いできればと思いますが、どのように社内で感じられましたか?

石原:上場したのは、私が入社して5年ほど経った時でした。当時は、アルバイトから社員に登用される方が多かった印象で。新卒採用はあまりなかったのですが、私が入社した1998年頃から新卒採用が増え、未来の経営幹部を採用し始めたそうです

当時は社員数も107名程度とまだまだ規模も小さかったため、比較的若い時から責任と権限をいただきながら、いろんなことに挑戦し、失敗も経験しました。また、若かったので失敗を取り返す期間もパワーもたくさんいただけました。

上場してからは、知名度が上がったことで、2024年3月期末ではグループ1,405名となるなど、採用活動が上場前よりも定期的にスムーズに行われるようになりました。

歴史ある企業としての強みと実績

—— コメ兵ホールディングスは何十年もの歴史を持ち、多くの実績があります。競合他社と比較した時に、御社にどのような強みや競合優位性があるのでしょうか?

石原:過去の先輩たちや先人の方たちから、お客様に誠実な商売をするということを大事にしてきた会社だと思います。誠実に商売をするというのはどこの会社も言っていると思いますが、我々のリユースの商品は買取価格も販売価格も、各企業が決めています。その金額に対するお客様への透明性や信頼が非常に大事です。長い歴史の中で、法人仕入れとお客様からの買い取り、強い小売と機動的な法人販売と多様なチャネルが商売の土台としてあるため、適正価格での買い取りができることが私たちの強みです。

また、メンバーズカードのデータベースをもとに、リレーションを構築できる顧客基盤があり、何度も利用していただけるような環境を作ってきたことも強みです。お客様との信頼関係、信頼していただけるお客様の数は他社と比べて非常に多いのではないでしょうか。

株式会社コメ兵ホールディングス
(画像=株式会社コメ兵ホールディングス)

今後の展望について

—— 今後は積み上げられた信頼や顧客基盤をさらに活用し、成長を続けていくと思いますが、今後の展望について教えてください。特に海外展開に注力されるとのことですが、その方針も含めてお願いします。

石原:国内と海外を分けてお話しします。国内では競合他社も多く、リユースが注目され利用者数も増えているため、マーケットのシェアを拡大していくためにもしっかりと投資を行っていきたいと考えています。我々のビジネスは仕入れが重要で、買取ができないと売り上げにつながらないため、国内で買取店舗を増やし、旗艦店となるような販売店舗も出していく予定です。2027年3月期までの三年間でKOMEHYOの買取専門店を90店舗、BRAND OFFは、FCの買取専門店を50店舗出していきたいと考えています。また、グループ会社も各社成長投資を続けます。

株式会社コメ兵ホールディングス
(画像=KOMEHYO買取専門店)

海外は、日本以上の市場ポテンシャルを秘めていると推測しています。ブランドリユース市場がまだ成熟しておらず、早く進出すればシェアを取れると考えています。リユースビジネスは、買取ができないと商売にならないため、ブランド品の購買が活発な国や都市で積極的に出店していきたいと考えています。まずはアジアを中心に、ブランド品を買取りできる国や都市で法人間取引を中心にビジネスを、チャンスがあれば現地で店舗を構え売るという自給自足の商売を展開していきたいと思います。

—— 海外ではまだリユースの文化が根付いていないのでしょうか

石原:リユースの文化はあると思いますが、法人ベースで展開しているところは少なく、個人間での売買が主流です。一方、私たちが展開しているタイやシンガポールでは買取からスタートして良質な商品を多く仕入れられたため、現地で販売店も出店することができています。香港も同様です。私たちが重視してきたお客様に対する誠実な姿勢はそのままに、その国や街に合うよう、サービスをローカライズしています。今後も積極的に投資し、中期経営計画の最終年度に当たる2028年度には、海外売上高を2024年3月期から3倍にする計画を立てており、今後も大きく成長できると見込んでています。

ZUU onlineのユーザーに⼀⾔

—— それでは、読書の方へ向けて、コメ兵ホールディングスの将来の投資ポイントや注目すべき点についてコメントをいただけますと幸いでございます。

石原:現在、創業以来、一貫してリユースに取り組んできた当社グループは、人材・チャネル・シェアを源泉に競争優位性を確立してきました。具体的には、高い人材定着率によって、販売スタッフや鑑定士を採用・育成でき、付加価値の高いサービスの提供ができています。国内外の様々なチャネルをそれぞれに大規模で持っていることが特長です。これにより相場観や情報収集が容易になり、適切な価格設定やマーチャンダイジングが可能となっています。

また、中期経営計画では、2028年3月期末で売上高2,500億円の達成を掲げました。高い目標ではございますが、今後も、国内外の新規出店や既存店の成長にむけ積極投資を行い、オーガニックな成長を追求すると共に、アライアンスやM&Aを通じて、新たなパートナーを見つけ、自社ではリーチできない顧客層の拡大や新規事業に挑戦していきます。このサステナブルな価値観が広がる時代において、私たちがビジョンに掲げる「リレーユースを『思想』から『文化』にする。」に共感いただく方を増やし、循環型社会の実現に貢献しながら、事業としてもさらなる成長を目指して参ります。

—— 本日はお時間いただきありがとうございました。

氏名
石原 卓児(いしはら たくじ)
会社名
株式会社コメ兵ホールディングス
役職
代表取締役社長