NISAは複数銘柄へ投資したほうがいい?複数銘柄に投資するメリットやおすすめの組み合わせを紹介

2024年に開始された新NISAは、250本ほどの銘柄から自由に組み合わせて運用できます。

だからこそ、銘柄はいくつ買えばいいのか悩む方も少なくないと思います。

本記事では、NISAで投資信託を複数銘柄を購入するメリットとデメリットを解説します。

さらには、おすすめの銘柄や組み合わせも解説するので、NISAで投資信託を始めてみたい方はぜひご覧ください。

  1. NISAで複数銘柄へ投資するメリット
    1. 1.投資スタイルに合わせてリスク・リターンが向上する
    2. 2.投資先.オリジナルで組み合わせられる
    3. 3.リスク分散効果が高まる
  2. NISAで複数銘柄へ投資するデメリット
    1. 1.分散効果が薄まる可能性がある
    2. 2.管理が複雑になる
  3. 複数銘柄へ投資するときの4つのポイント
    1. 1.投資先の資産で組み合わせを考える
    2. 2.地域が異なる銘柄同士を組み合わせる
    3. 3.インデックス・アクティブファンドを組み合わせる
    4. 4.低リスクファンドを取り入れてリスクを調整する
  4. NISA初心者におすすめの投資信託
    1. SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
    2. eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
    3. eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
    4. eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
    5. SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)
    6. eMAXIS Slim 先進国債券インデックス
    7. ひふみプラス
  5. NISAで複数銘柄投資するときのおすすめの組み合わせ
    1. 米国株式+日本株式|米国と日本の主要企業に分散投資
    2. 世界株式+日本株式|世界と日本の主要企業に分散投資
    3. 世界株式+債券ファンド|債券を組み込みリスクを分散
    4. インデックスファンド+アクティブファンド|着実なリターンを目指す方向け
  6. NISA初心者は信託投資1本からでも十分な理由
    1. 1.投資信託は1本でもリスク分散効果がある
    2. 2.組み合わせによっては複数銘柄を購入しても分散効果が得られない
    3. 3.複数銘柄を持ち合わせて管理するのは大変な場合も
  7. まとめ|NISAで複数銘柄を保有すればリスク分散や自分に合った投資が可能に

NISAで複数銘柄へ投資するメリット

NISAで複数の銘柄へ投資する主なメリットは、以下の3つです。

1.投資スタイルに合わせてリスク・リターンが向上する

複数銘柄を組み合わせることにより、自分の投資スタイルに合わせてリスク・リターンを調整したり、改善させたりできます。

基本的に金融商品は、リターンとリスクが比例関係にあるため、ハイリターン銘柄はハイリスクな傾向です。

既存銘柄で自分の投資以降に合ったリターンの銘柄が見つからない場合は、「高リスクと低リスクのファンドを組み合わせる」など、ほどよいリスクの投資の実現が期待できます。

値動きの特徴が異なる銘柄をうまく組み合わせれば、単発商品へ投資するよりも同程度のリスクで高いリターンを狙える効率よい投資が実現できる場合もあります。

2.投資先.オリジナルで組み合わせられる

複数銘柄を組み合わせれば、自分にあったオリジナルの資産構成を自由に形成できます。

例えば「世界中の株に投資したいけど、よく知る日本企業に多めに投資したい」と考えている場合は、以下のような組み合わせを検討するのが有効です。

  • 世界の株式へ投資するインデックスファンド
  • 日経平均のインデックスファンド、もしくは日本の個別株

必ずしも市場指数に連動するインデックスファンドか、指数を上回るリターンを狙えるアクティブファンドの二択にする必要はありません。

また、インデックスファンドとアクティブファンドを好みの比率で組み合わせることもできます。

例えば、REITと株式といったような投資信託1本ではあまり見られない資産の組み合わせも可能です。

1本だけで自分の思い描く資産の組み合わせが実現できない場合は、複数銘柄を組み合わせて理想のポートフォリオを形成するのがおすすめです。

3.リスク分散効果が高まる

特徴の異なる銘柄を組み合わせると、リスク分散効果を高められる場合があります。

大きな損失リスクを抑制して、より安定した長期運用が可能です。

典型的な例として、株と債券は次のように特徴が異なるため、組み合わせるとリスク分散効果が期待できます。

債券
リスク 相対的に高い 相対的に低い
景気拡大時 リターン向上が期待できる リターン低下・損失リスクが高まる
景気収縮時 リターン低下・損失リスクが高まる リターン向上が期待できる
※あくまで一般論であり、実際の値動きは銘柄や金融市場の動向により異なります

例えば景気収縮時には、株で損失が出ても債券が補って投資資産全体の損失を抑えられる場合があります。

このように値動きの特徴が異なる資産同士をうまく組み合わせると、損失リスクが低減し長期でより安定した運用が可能となります。

NISAで複数銘柄へ投資するデメリット

一方、NISAで複数の銘柄へ投資するデメリットは、銘柄の投資対象地域が一部被るような組み合わせで分散効果が下がったり、それを見極める商品選びや管理が大変になるという点です。

主なデメリットとして、以下の2つを具体的に解説します。

1.分散効果が薄まる可能性がある

国内株式と新興国株式、米国株式、欧州株式といった異なる地域の組み合わせはリスク分散に効果的ですが、以下のような対象地域が被るような組み合わせでは、分散効果が低下してしまいます。

  • 全世界株式+日本株式
  • 全世界株式+先進国株式
  • 全世界株式+新興国株式
  • 先進国株式+米国株式

全世界株式は、国内株式や先進国株式、新興国株式を含むため、どの銘柄を組み合わせても同じような運用成績となってしまいます。

また、先進国株式には米国株式が含まれるため、この組み合わせも分散効果が低いといえます。

管理が複雑になる

複数の銘柄を組み合わせれば、管理も複雑になります。

例えば、米国株式の銘柄と新興国の銘柄に投資している場合、両方の値動きを追いかける必要があります。

情報量が多くなり、自分が何に投資しているのかわかりづらく、どれくらい資産を持っているのか把握しづらくなるでしょう。

また、資産配分が時間の経過とともに変化し、その都度バランスを整える必要性も出てくるので長期運用も困難になってしまいます。

複数銘柄へ投資するときの4つのポイント

NISAの組み合わせを考えるときには、次のようなアイデアがあります。

この4つのなかから、自分が実践しやすい方法で組み合わせる銘柄を検討してみてください。

1.投資先の資産で組み合わせを考える

投資する資産の組み合わせをもとに複数銘柄を組み合わせることも一案です。

NISAで投資できる投資信託は、株式や債券など特定の資産カテゴリーのなかで分散投資するものが多数あり、一部は1つの銘柄で複数の資産カテゴリーに投資します。

そのため投資先の資産に着目して、異なる資産へ投資する投資信託同士を組み合わせるとよいでしょう。

また、株式やREITなどNISAの成長投資枠で投資できる個別銘柄と投資信託を組み合わせる方法もあります。

リスクを分散する観点からは、異なる値動きの特徴を持つ資産同士を組み合わせるのが基本です。

2.地域が異なる銘柄同士を組み合わせる

地域に着目して分散投資を実現することもひとつの方法です。

株式ひとつをとっても、日本株、米国株、先進国株や新興国株など投資する国や地域が異なるさまざまな投資信託があります。

異なる国に投資する投資信託や個別銘柄を組み合わせて、投資する地域の面から分散投資を実現することも一案です。

新興国へ積極的に投資したい場合は、「先進国株+新興国株」の組み合わせで新興国株の投資信託を多めに保有する方法があります。

また「日本株+新興国株」など、投資信託1銘柄では実現できない組み合わせでの投資も可能です。

3.インデックス・アクティブファンドを組み合わせる

複数銘柄を組み合わせることで、インデックスファンドとアクティブファンドを組み合わせることもひとつの方法です。

投資信託は、大別すると市場指数に連動する「インデックスファンド」と市場指数を上回ることを目指す「アクティブファンド」に分けられます。

単一銘柄への投資では、事実上インデックスファンドとアクティブファンドのいずれかを選択しなければなりません。

一方、複数銘柄の投資信託を組み合わせれば、インデックスファンドとアクティブファンドの両方を取り組むことが可能です。

例えば「インデックス投資を主体としつつも情報を入手しやすい日本だけアクティブ投資にチャレンジする」といった戦略も考えられます。

複数銘柄の組み合わせにより、さまざまな投資戦略の投資信託を取り入れることが可能になります。

4.低リスクファンドを取り入れてリスクを調整する

低リスクファンドを適度に取り入れて、リスクを抑える方法も有効です。

NISAの人気銘柄には、株式へ投資する投資信託が多く見られます。

過去の実績に基づくと、長期で見れば魅力的なリターンが期待できる株式市場です。

しかし経済ショックの時期には、大幅な下落を見せる場合もあり「株式ではリスクが高すぎる」と考える方もいるでしょう。

資産の一部を債券へ投資する投資信託などの低リスクファンドへ投資すると、損失リスクの抑制が期待できます。

複数銘柄を組み合わせることで、安心して長期で保有し続けられる資産構成が実現します。

2024年9月現在、つみたて投資枠の対象銘柄には債券のみに投資する投資信託がありませんが、成長投資枠には複数銘柄が対象となっています。

成長投資枠もうまく活用して、投資銘柄の組み合わせを検討しましょう。

NISA初心者におすすめの投資信託

投資信託の組み合わせを考える前に、まずは初心者におすすめの投資信託を紹介します。

いきなり個別株やREITで組み合わせを考えるのは難易度が高いので、おすすめ銘柄を軸に複数銘柄の組み合わせを検討してみましょう。

SBI・V・全米株式インデックス・ファンド

トータルリターン
(1年・信託報酬控除後)
+23.31%
信託報酬
(年率・税込)
0.0938%程度
純資産 約2,654億7,200万円
投資対象 米国株式
主な販売会社 ・株式会社SBI証券
・株式会社SBIネオトレード証券
・あかつき証券株式会社
・auカブコム証券株式会社
・立花証券株式会社
・松井証券株式会社
・ソニー銀行株式会社
・株式会社千葉銀行
・株式会社京葉銀行
2024年9月19日時点、引用:SBIアセットマネジメントSBI証券

SBI・V・前米株式インデックス・ファンドは、CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)への連動を目指したインデックス投資信託です。

CRSP USトータル・マーケット・インデックスは、米国株式市場の大型株から小型株まで投資可能な株式のほぼ100%をカバーした株式指数となっています。

全米の株式に実質的に分散投資したのと同じ効果が期待できるのが特徴です。

2021年7月から運用開始なので、2024年9月時点で3年が経過しました。

この間米国株の市場環境が良好だったこともあり、設定来のリターンは2024年9月末時点で+67.4%となっています。

また信託報酬が年率0.1%以下と低水準なことも特徴です。

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eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

トータルリターン
(3年年率・
信託報酬控除後)
+15.78%
信託報酬
(年率・税込)
0.05775%
純資産 約4兆0133億8300円
投資対象 株式(海外)
主な販売会社 ・auカブコム証券
・SBI証券
・楽天証券
・松井証券
・マネックス証券
・大和コネクト証券
・SMBC日興証券
・野村證券 など

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、日本および新興国と先進国の双方を含む全世界の株式へ分散投資するインデックスファンドです。

新興国24ヵ国・先進国23ヵ国双方を含むMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)へ連動することを目指して運用されます。

運用純資産が4兆円を超える日本有数の大型ファンドです。

総資産が大きいファンドは、残高縮小による運用終了リスクが小さいため、長期保有するうえで安心できます。

また信託報酬が年率0.05%台とインデックス投資信託のなかでも相対的に低水準な銘柄の一つです。

そのためコストを抑えて投資できることも特徴といえるでしょう。

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eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

トータルリターン
(3年年率・
信託報酬控除後)
+7.08%
信託報酬
(年率・税込)
0.143%
純資産 約2,955億3,200万円
投資対象 バランス
主な販売会社 ・楽天証券
・auカブコム証券
・SBI証券
・松井証券
・マネックス証券
・SMBC日興証券
・岡三証券
・三菱UFJ銀行 など
2024年9月19日時点、引用:楽天証券三菱UFJアセットマネジメント

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、以下の8カテゴリーの資産に均等投資(すなわち1資産カテゴリーあたり12.5%)するファンドです。

  • 国内株式
  • 先進国株式
  • 新興国株式
  • 国内債券
  • 先進国債券
  • 新興国債券
  • 国内REIT
  • 先進国REIT

なお各資産カテゴリーは、該当する市場指数に連動するように運用されるため、実質的にはインデックス運用ができる投資信託です。

複数銘柄で分散投資するときの土台として、同ファンドを一つ持っておけばリスク分散効果が期待できます。

しかし、このファンドだけでは各資産への均等投資となってしまうため、自分が重点投資したい市場へ投資する投資信託を組み合わせて重みづけをすることも一案です。

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eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)

トータルリターン
(3年年率・
信託報酬控除後)
+13.29%
信託報酬
(年率・税込)
0.143%以内
純資産 1.297億7.800万円
投資対象 日本株式
主な販売会社 ・マネックス証券
・SMBC日興証券
・SBI証券
・auカブコム証券
・岡三証券
・GMOクリック証券
・野村證券
・松井証券
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券
・楽天証券 など
※2024年9月19日時点、引用:マネックス証券三菱UFJアセットマネジメント

eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は、日本の日経平均株価(配当込み)に連動することを目標に運用されるインデックス投資信託です。

なお、「配当込み」のインデックスなので、組入銘柄の配当収入も加味されます。

日経平均は、東京証券取引所プライム市場上場銘柄のうち代表的な225銘柄を組み入れる市場指数です。

そのため、この投資信託に投資すれば日本の大手企業のなかで分散投資が可能です。

日本株に重点投資したい方は、eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)と世界株のインデックス投資信託を組み合わせることも一案です。

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SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)

トータルリターン
(設定来・信託報酬控除後)
2024年9月末時点
+10.29%
信託報酬
(年率・税込)
0.1238%程度
純資産 114億1,000万円
投資対象 米国株式
主な販売会社 SBI証券
2024年9月19日時点、引用:SBIアセットマネジメントSBI証券

SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)は、2024年1月に運用が開始された今回紹介する銘柄のなかでは新しいファンドです。

「FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス(円換算ベース)」という指数へ連動することを目指して運用されます。

この市場指数は、米国株式市場のなかで高配当な銘柄を中心に構成される市場指数です。

そのため同ファンドに投資すれば実質的に米国での高配当株投資が可能となります。

年4回決算を行い、状況に応じて分配金を支払う方針です。

分配金収入を獲得したい方にも適した投資先といえるでしょう。

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eMAXIS Slim 先進国債券インデックス

トータルリターン
(3年年率・
信託報酬控除後)
+4.32%
信託報酬
(年率・税込)
0.154%
純資産 約1,457億700万円
投資対象 先進国の債券
主な販売会社 ・楽天証券
・松井証券
・マネックス証券
・SBI証券
・auカブコム証券
・SMBC日興証券
・GMOクリック証券
・PayPay銀行
・三菱UFJ銀行 など
2024年9月19日時点、引用:三菱UFJアセットマネジメント楽天証券

eMAXIS Slim 先進国債券インデックスは、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)に連動することを目指して運用されるインデックスファンドです。

FTSE世界国債インデックスは、世界主要国の国債(格付けでBBB各以上を持つ投資適格債)を主要な組入対象としている市場指数となっています。

つまり、このファンドに投資すると世界の先進国国債のなかで分散投資が可能です。

なお、日本国債は含まれていません。

株式と比べて低リスク傾向となる債券のみに投資する商品のため、リターンがここまで紹介した投資信託と比べて低い傾向にあり、損失リスクの抑制が期待できます。

株式へ投資する投資信託を組み合わせてリスク分散を図るうえで、有効な投資先の一つです。

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ひふみプラス

トータルリターン
(3年年率・
信託報酬控除後)
+4.36%
信託報酬
(年率・税込)
1.078%
純資産 約5,498億4,000万円
投資対象 日本株中心・一部世界株
主な販売会社 ・松井証券
・マネックス証券
・楽天証券
・SBI証券
・auカブコム証券
・岡三証券
・SMBC日興証券
・GMOクリック証券
・大和証券
・野村證券
・イオン銀行
・PayPay銀行 など
2024年9月19日時点、引用:ひふみ、SBI証券

ひふみプラスは、主に日本株、一部を海外株に投資するアクティブ投資信託です。

ベンチマークは明記されていませんが、月次レポートではTOPIXとのパフォーマンス比較を掲載しています。

長期にわたりTOPIXを上回る成績を上げていることが特徴で、国内外の長期での経済循環や構造変化のなか、長期視野で割安な銘柄に投資をする方針です。

ポートフォリオの多くは日本株ですが、市場環境に応じて海外株式へも投資します。

例えば2024年9月時点では、ポートフォリオの4.72%が海外株へ投資しています。

また現金保有率を最大50%近くまで柔軟に高められるルールがある点が特徴です。

市場環境が悪化したときには、現金比率を高めて株への投資比率を抑えて、損失を抑えられる可能性があります。

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NISAで複数銘柄投資するときのおすすめの組み合わせ

今回紹介した投資信託も活用しながら、NISAで複数銘柄に投資するときのおすすめの組み合わせを4パターン紹介します。

米国株式+日本株式|米国と日本の主要企業に分散投資

組み合わせ例
  • SBI・V・全米株式インデックス・ファンド+eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
  • SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)+eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)

1つ目は、米国株式と日本株式を組み合わせる例です。

米国の株式市場は、過去長期にわたって順調に市場拡大を実現させています。

今後も米国の経済成長を期待する場合は、米国へ一定割合を投資することが有効です。

一方で、米国に集中させるのはリスクが高いと考える場合は、情報収集がしやすい日本株と組み合わせることも一案といえます。

あくまでも全米で分散投資させたいのであれば、米国株式は「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」がおすすめです。

一方で長期投資するなかで分配金収入にも期待するのであれば「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」を選ぶのもよいでしょう。

日本株式については、今回紹介した「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」であれば、日本の代表的な企業に分散投資ができます。

そのほかでは、TOPIXに連動するインデックス投信を組み入れることも一案です。

世界株式+日本株式|世界と日本の主要企業に分散投資

組み合わせ例
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)+eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)

「世界中の株式に分散投資しながら国の比率を下げたい」「日本株の比率を増やしたい」という方におすすめです。

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、全世界に分散投資する投資信託ですが、連動するインデックスの投資銘柄構成が「時価総額加重平均」のため、2024年現在では大部分が米国に投資されています。

もし米国への集中度が気になる場合は、別の銘柄を組み合わせることも一案です。

例えば同ファンドは、日本の組入率が5.6%(2024年3月29日現在)にとどまっているので、日本株のインデックスと組み合わせて日本の投資比率を高めることも一つの考え方といえるでしょう。

世界株式+債券ファンド|債券を組み込みリスクを分散

組み合わせ例
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)+eMAXIS Slim 先進国債券インデックス

「世界中の資産へ分散投資したいけど市場悪化時の下落リスクが気になる」という方におすすめの組み合わせです。

グローバルな経済ショックや金融不安が起こると世界同時株安となって、地域で分散投資しても損失抑制につながらないリスクがあります。

例えば、リーマンショックによる影響が本格化した2008年に世界株式の市場指数「MSCI全世界株価指数」は、41%も下落しました。

こうした損失リスクを抑えるためには、相対的に低リスク債券と組み合わせて投資することも一案です。

今回紹介した「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」を保有すれば、債券側も多様な先進国の国債へ分散投資できます。

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と組み合わせれば、地域と資産の双方でリスク分散が可能です。

インデックスファンド+アクティブファンド|着実なリターンを目指す方向け

組み合わせ例
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)+ひふみプラス

資産の一部にアクティブファンドを取り入れて、市場悪化時の損失抑制や長期での資産成長の加速を目指す方法もあります。

例えば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で全世界に分散投資しつつ、日本については長期でTOPIXを上回った実績のあるアクティブファンド「ひふみプラス」を取り入れることも選択肢の一つです。

この組み合わせにおいては、アクティブファンドのコンセプトにも着目して銘柄を選びましょう。

ひふみプラスの場合は「割安株への投資」「市場悪化時に現金比率を高められる」といった特徴があるため、市場悪化時の損失を抑制しながら長期で安定したパフォーマンスが期待できるファンドです。

インデックスファンド単体での投資と比べて、リスクを高めず長期で着実なリターンを追求したい方におすすめです。

NISA初心者は信託投資1本からでも十分な理由

ここまで複数銘柄へ投資するときのポイントや考えた方を紹介してきました。

しかし初心者は、無理に複数銘柄へ投資する必要はありません

投資信託は、1本でも分散効果が働くうえ、ファンドによっては1本で異なる特徴を持つ多様な資産へ投資が可能です。

ここでは、NISA初心者は投資信託が1本でも十分な理由を3つ解説します。

1.投資信託は1本でもリスク分散効果がある

投資信託は、投資家から集めた資金を多数の資産に分散投資する仕組みの金融商品です。

そのため1本に投資するだけでも分散効果が期待できます。

例えば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、世界中の約3,000銘柄(2024年9月時点)の株式を組み入れており、個別株を購入するのと比べればはるかにリスクが分散されています。

「うまい銘柄の組み合わせが思いつかない」という方は、まず単一の投資信託を購入してみてはいかがでしょうか。

・1本でリスク分散を徹底するならバランスファンドがおすすめ!

投資信託のなかには、複数の資産のカテゴリーに分散投資する銘柄もあります。

今回紹介したなかでは「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」が該当します。

こうしたバランス型のファンドであれば、1本購入するだけで株・債券など多様な資産カテゴリーへ分散投資が可能です。

株式だけに資産を集中させるのが不安な初心者の方は、バランスファンドを検討してみてもよいでしょう。

2.組み合わせによっては複数銘柄を購入しても分散効果が得られない

やみくもに複数銘柄を購入しても、分散効果が得られない場合もあるため注意しましょう。

インデックスファンドのなかには、同じ市場指数への連動を目指す銘柄が複数ある場合があります。

例えば、以下のインデックスファンドは、すべて米国の株式指数「S&P500」に連動することを目指して運用されます。

  • eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
  • SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
  • たわらノーロードS&P500
  • 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド

以上の銘柄同士で複数銘柄を組み合わせても、基本的に似たような値動きとなるためリスク分散の効果があまり期待できません

また他の米国株式の指数と連動するインデックスファンドとの組み合わせについても効果は限定的です。

特徴が異なる資産同士や、投資する地域や国が異なる銘柄同士をうまく組み合わせることが大切です。

3.複数銘柄を持ち合わせて管理するのは大変な場合も

複数銘柄を持ち合わせると、自身の保有資産の管理が大変です。

投資開始後は、各銘柄で日々の損益が異なるため損益評価が複雑化します。

数字だけなら証券口座が集計してくれますが、「どのような市場変化のときに自分の資産にとって有利(もしくは不利)なのか」についてはイメージしにくくなるでしょう。

また長期保有していると、一部の資産だけが価値が増大して当初の投資比率から大きくゆがんでしまうことも少なくありません。

いつの間にか株式の比率が高くなって、想定よりリスクの高いポートフォリオになる可能性もあります。

こうしたときにリスク水準を調整するためには、「リバランス」と呼ばれる保有残高の調整が必要になり、さらに資産管理が煩雑になるおそれもあります。

まとめ|NISAで複数銘柄を保有すればリスク分散や自分に合った投資が可能に

NISAで投資信託を複数銘柄保有すれば、リスク分散効果の向上や自分の理想に合った資産構成の構築が期待できます。

「株式だけではリスクが高すぎる」と感じる方は、適度なリスク水準にするために資産構成を調整可能です。

複数銘柄へ投資するときには、投資先の資産の違いや投資する国や地域の違いに着目して、銘柄の組み合わせを検討してください。

投資銘柄に悩む方は、まず今回紹介した初心者におすすめの投資信託や組み合わせを参考にしてみてはいかがでしょうか。

(提供:Crazy Money Plus+