日本管財ホールディングス株式会社
(画像=日本管財ホールディングス株式会社)
若松 雅弘(わかまつ まさひろ)――常務取締役マーケティング・営業戦略担当
1985年日本管財入社、2014年取締役業務統轄本部技術・購買担当兼エンジニアリングマネジメント本部長、18年常務取締役 営業統轄本部本部長代理兼東日本・中部担当、21年NSコーポレーション代表取締役社長(現任)、22年日本管財常務取締役営業統轄本部長、23年より現職
日本管財ホールディングスは、オフィスビルや商業施設等の建物管理運営事業や住宅管理運営事業、環境施設管理事業、不動産ファンドマネジメント事業など、建物管理とその周辺事業を手掛けるホールディングス会社です。中核事業を展開する中核子会社の日本管財株式会社は1965年創業で設立55年を超えるビルメンテナンス業界のパイオニアです。

目次

  1. 今の市況をどう捉えているのか
  2. 貴社のこれまでの事業変遷
  3. 代表が考える今後の不動産市場
  4. 上記を踏まえた貴社の事業展開や今後の注力ポイント
  5. ZUU onlineユーザー、投資オーナーへメッセージ

今の市況をどう捉えているのか

ーー現在のビルメンテナンス業界の状況や管理の仕組みについてお聞かせください。

日本管財ホールディングス株式会社 常務取締役マーケティング・営業戦略担当・若松 雅弘氏(以下、社名・氏名略) 私たちはビルメンテナンス会社として、今の業界の状況を肌で感じています。大きな課題は人手不足と賃上げの影響ですね。業界全体が収益面で厳しい状況にあります。このような環境だからこそ、ロボットやデジタル化(DX)の導入が加速しています。現在、ビルメンテナンス業界は転換期に差し掛かっていると感じています。

ーーロボット化やデジタル化の具体的な取り組みについて教えてください。

若松 具体例を挙げると、清掃ロボットがあります。近年、性能が飛躍的に向上し、ビルオーナーや利用者の間でもロボットによる清掃が一般的になってきました。当社でも今期中に200台の清掃ロボットを導入し、現場の人手不足に対応しています。

また、DXの一環として、AIカメラによる認識ソフトの進化もあります。不審者の検知や異常な状況の把握がカメラ画像で行えるようになり、警備員の人手不足解消にも貢献しています。ただし、顔認識技術の使用に関しては、個人情報保護の課題も今後取り組む必要があると考えています。

貴社のこれまでの事業変遷

ーー貴社の事業の変遷についてお話いただけますか。

若松 私たちの会社、日本管財は1965年に設立されました。創業当初からマンション管理やビル管理を主軸に事業を展開してきましたが、その後、環境インフラ施設の管理や警備事業なども手がけるようになりました。例えば、1973年にマンション管理事業を開始し、2017年にはその事業を分社化しています。また、2008年には資生堂開発を買収し、現在のNSコーポレーションとして最適なオフィス環境の設計、Webサイトや動画制作まで事業領域を拡大しています。

海外展開も進んでおり、2013年からオーストラリア、アメリカ(カリフォルニア、ハワイ)、ドイツなどでマンション管理事業を進めています。海外と日本では、文化や気候の違いこそありますが、管理業務における基本的なノウハウはほぼ共通しています。日本で培った知識と経験を海外でも活かせることが分かり、非常に有効な展開ができています。

代表が考える今後の不動産市場

ーー今後の不動産市場について、どのようにお考えですか。

若松 不動産市場は大きく2つの軸で動いていると考えています。一つは東京などの大都市での超大型再開発事業、もう一つは地方のプロジェクトです。東京では新しいビルがどんどん建設されていますが、地方の再開発は福岡や札幌など一部の都市に限られています。他の地方では、まだ開発事業が少ないのが現状です。

また、再開発を行う大手企業は自社でメンテナンス会社を持っていることが多く、その中で私たちは官公庁の施設管理に注力しています。自治体が保有する施設を一括で管理する「包括管理」を進めており、効率的な管理が求められる今の時代に非常に重要な手法だと考えています。

上記を踏まえた貴社の事業展開や今後の注力ポイント

ーー今後の事業展開や、注力していくポイントについて教えてください。

若松 コロナ禍を通じて、私たちは多くの経験を積みました。ビルメンテナンス業務は、エッセンシャルワーカーとして社会の基盤を支える重要な役割を担っていることが改めて認識されました。今後も、病院や防災拠点としての役割を果たす施設の管理に加え、バイオマス発電所やエネルギーセンターの管理など、ライフラインに直結する事業に力を入れていきます。

また、最新の技術を活用した無人のビル管理にも注力していきます。遠隔監視技術を使ったビルの少人化を進めることで、コスト削減と効率化を同時に実現することが可能になります。これからのビルメンテナンス業界では、このような新しい技術をどう取り入れていくかが重要な課題となっています。

ZUU onlineユーザー、投資オーナーへメッセージ

ーー最後に、ZUU onlineユーザーや投資オーナーの方々に向けてメッセージをお願いします。

若松 投資オーナーの皆様は、賃料収入からのビルの収益を意識されるかと思いますが、ビルの維持管理にはメンテナンスコストもかかります。例えば、平米単価で月当たり約3000円のメンテナンスコストがかかることが一般的です。これらのコストをセットで考えていただき、トータルでビルの収益性を評価していただければ、より良い投資判断ができるのではないかと考えています。

私たちは、メンテナンスによる長寿命化やエネルギーコストの削減を提案し、トータルでのコスト削減に取り組んでいます。これからも、投資家の皆様に選ばれる管理会社として、質の高いサービスを提供していきたいと思いますので、引き続きご期待いただければと思います。

氏名
若松 雅弘(わかまつ まさひろ)
社名
日本管財ホールディングス株式会社
役職
常務取締役マーケティング・営業戦略担当

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