主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年12月9日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼6日(金)の為替相場
(1):日本実質賃金 3カ月ぶりにマイナス回避
(2):独鉱工業生産 予想に反して減少
(3):米雇用統計でドル売り強まる
(4):FRB高官 慎重に利下げを進める考え示す
(5):ミシガン大消費者態度指数は予想を上回る
▼6日(金)の株・債券・商品市場
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6日(金)の為替相場
期間:6日(金)午前7時10分~7日(土)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本実質賃金 3カ月ぶりにマイナス回避
日本10月毎月勤労統計で労働者1人当たりの平均名目賃金を示す現金給与総額は前年比+2.6%と市場予想通りの伸びとなった(9月分は+2.8%から+2.5%に下方修正)。この結果、物価の影響を除いた実質賃金は前年比±0.0%となり、3カ月ぶりにマイナスを回避した。
(2):独鉱工業生産 予想に反して減少
独10月鉱工業生産は前月比-1.0%と市場予想(+1.0%)に反して減少。大幅な落ち込みとなっていた9月分は前月比-2.5%から-2.0%に上方修正された。その後に発表されたユーロ圏7-9月期域内総生産(GDP)・確定値は前期比+0.4%で、改定値から変わらずだった。
(3):米雇用統計でドル売り強まる
米11月雇用統計で非農業部門雇用者数は22.7万人増と予想(22.0万人増)をわずかに上回った。ハリケーンやストライキの影響があったと見られる10月分は1.2万人増から3.6万人増へ小幅に上方修正された。11月失業率は4.2%と10月(4.1%)から悪化。市場予想(4.1%)も上回った。平均時給は前月比+0.4%、前年比+4.0%と予想(+0.3%、+3.9%)を上回り、堅調な伸びを維持した。市場は、労働参加率が62.5%に低下(10月62.6%)した一方で失業率が上昇したことを受けて労働需給の緩みを意識。米長期金利が低下し、米金利先物で12月利下げの織り込み度が上昇する中、ドル売りが強まった。
(4):FRB高官 慎重に利下げを進める考え示す
米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は「インフレは高止まりしており、利下げは慎重かつ漸進的に進めたい」と述べた。11月雇用統計の結果について、失業率は上昇したものの、歴史的に見れば低い水準だとの認識を示し、今回の雇用統計と翌週に発表される最新のインフレ指標も政策金利を決定する上での判断材料になると指摘した。なお、この日はシカゴ連銀のグールズビー総裁、クリーブランド連銀のハマック総裁、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁らFRB高官が、揃って労働市場が健全であるとの認識を示した上で、慎重に利下げを進める考えをあらためて表明した。
(5):ミシガン大消費者態度指数は予想を上回る
米12月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値は74.0と市場予想(73.2)を上回り、前回(71.8)から上昇。消費者の1年先インフレ期待は2.9%と前回(2.6%)から上昇。市場予想(2.7%)も上回った。5-10年のインフレ期待は3.1%と前回(3.2%)から低下した。FRB高官らの発言も相まってドルは雇用統計後の下落幅を縮小した。