総括
FX「リセッションとインフレで迷う金利決定は26日。シリア復興特需あり」トルコリラ見通し
(通貨11位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.0-4.5
*リラ円は年初来8.82%安。株価は世界最強
*11月CPIは下げ切らず、ただリセッションをどう判断するか
*今週の注目指標、経常収支など多数
*OECDの見通し
*一人当たりGDPは1万5000ドルを超える可能性
*トルコはシリア復興を支援(復興特需は)
*政策金利決定は12月26日
*11月製造業PMIは改善
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
*4か月連続経常黒字、源泉はインバウンド
*リラ円は11か月以上、4円台で推移
*トルコ長期ソブリン格付けを「BB-」に引き上げ
*リラの持続的急騰はないだろう 急騰時にはリラ売り介入あり
*エネルギー自給を目指している
(リラ円は年初来8.82%安。株価は世界最強)
年間では対円8.82%安。12月はここまで8位で円より1つ上にいる。株価は頗る強く年初来37.31%高で2位のナスダックの31.48%高を引き離している。今後はシリア復興特需が注目される。
10年国債利回りはボラタイルで27%から30%台で推移している。今年のリラの下落は比較的小さく、日・トルコの金利差の範囲内に収まっている。株は長期間強くトルコ株投信はリラ安でも5年で120%の収益を上げているものもある。
(利下げの判断材料の11月CPIは下げ切らず、ただリセッションをどう判断するか)
11月の消費者物価上昇率は前年比47.09%、前月比2.24%と、予想を上回った。
予想は前年比46.6%、前月比1.91%だった。予想を上回ったものの、前年比では昨年半ば以来の低水準。10月は前年比48.58%、前月比2.88%。中銀は常々、CPIが前月比で低下する傾向が明らかになるまで利下げはしないとしている。11月は低下したものの下げ幅が市場予想を下回ったことで中銀の利下げへの判断が難しくなったが経済がリセッションに陥ったことも考慮が必要だろう。政策金利決定は12月26日。それまでに雇用、小売売上、消費者・企業信頼感指数が発表される。
(リセッションと利下げ)
前回も触れたが、3Q・GDPは前期比では0.2%減で2期連続のマイナス成長、リセッション入りとなった。前年比では2.1%増で予想を下回った。高金利が重しとなりサービス部門で需要が減少した。リセッションとなったことで中銀への利下げ圧力は強まるだろう。
(今週の注目指標、経常収支は4か月連続で黒字だが)
10日に10月鉱工業生産と失業率、11日に10月鉱工業生産と11月自動車生産・販売、12日に10月経常収支と外貨準備。経常収支はインバウンドの影響で4か月連続黒字が続いている。貿易収支は赤字が続いている。インバウンドでの外貨獲得がリラ買いには即繋がっていないことがリラの上昇を抑えている。
(OECDの見通し)
OECDのトルコ経済見通しは24年が3.5%、25年が2.6%、インフレは24年が58.3%、25年が30.7%。
(一人当たりGDPは24年に1万5000ドルを超える可能性)
シムシェキ財務大臣は「一人当たりGDPは2024年に1万5000ドルを超える可能性がある」と述べた。中期計画(MTP)の主要目標として持続可能な高成長を達成するという目標を改めて強調した。
今年の経済成長率は3.5%と予測されており、当局は一人当たりの国内総生産(GDP)が現行価格で15,551ドルに達すると予想している。さらに来年は17,028ドル、2027年には20,420ドルにそれぞれ増加すると予想されている。
大臣は、このプログラムの主な構成要素は物価安定、インフレ率の低下、財政規律、持続可能な経常収支赤字、構造改革、経常収支赤字の削減であると指摘した。
トルコの基盤は「強固」であり、過去20年間で年平均5.5%の成長を遂げており、これは良い業績だと指摘した。「今は一時的にペースを落としている。再び走るためには時々休憩も必要だ」と彼は語った。