総括
FX「10年ぶりに対円下落幅が10%を切りそうな2024年終盤。金利決定を待つ」トルコリラ見通し
(通貨11位、株価2位)
予想レンジ トルコリラ/円4.1-4.6
*2024年はここまで12通貨中で11位、対円で7.56%安、対ドルで18.25%安
*5カ月連続で経常収支が黒字
*来週、政策金利決定
*11月CPIは下げ切らず、ただリセッションをどう判断するか
*シリア問題も複雑、トルコ、米国、イスラエルが絡む
*OECDの見通しは24年が3.5%成長、25年が2.6%成長
*一人当たりGDPは1万5000ドルを超える可能性
*トルコはシリア復興を支援(復興特需は)
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
*トルコ長期ソブリン格付けを「BB-」に引き上げ
*リラの持続的急騰はないだろう 急騰時にはリラ売り介入あり
*エネルギー自給を目指している
*トルコは世界のドローン市場の65%を支配
(2024年振り返る)
2024年のリラも弱かった。現在は12通貨中11位。対円で7.56%安。対円での下落が年間10%を下回れば10年ぶり。対ドルで年間18.25%安。円が安いので対円で追いついてきたとも言える。
株価は年初来33.83%高でナスダックの34.39%高と熾烈な首位争い。今後はシリア復興特需が注目される。
10年国債利回りはボラタイルで27%から30%台で推移している。今年のリラの下落は比較的小さく、日・トルコの金利差の範囲内に収まっている。
(5カ月連続で経常収支が黒字)
経常収支は10月にまたも月間黒字を記録した。10月は予想を上回る18億8000万ドルの黒字となった。好調なインバウンド、貿易赤字の縮小によるものだ
(10月小売売上、鉱工業生産、失業率)
10月小売売上は前年比で15.0%増。前月は16.4%増。
10月鉱工業生産は前年比で3.1%減、前月は2.3%減
10月失業率は8.8%、前月は8.7%
(来週、政策金利決定)
政策金利決定は12月26日。インフレ低下はまだ遅々たるものだが、経済がリセッションに落ち込んだことを考慮するかどうかがポイントだ。
今週は12月消費者信頼感指数の発表がある。前月は79.8、予想は81。
(シリア問題も複雑、トルコ、米国、イスラエルが絡む)
トルコはシリアの将来を形作る主役としての立場を主張しており、ダマスカスに高官を派遣し、12年ぶりに外交関係を再開した。
トルコは、アサド政権の崩壊から安定した平和なシリアを築くのに協力する強い動機を持っている。それは、歴史的な繋がり(シリアはオスマントルコの領土だった)やトルコが少なくとも300万人のシリア難民を受け入れているからにほかならない。戦後の復興が始まれば、トルコ企業も恩恵を受ける立場にある。
一方、イスラエルはトルコとともに自国の利益を追求しており、シリアの軍事資産が敵の手に渡るのを防ぐため大規模な空爆を行っている。
(トランプ氏、トルコがシリア問題のカギを握る)
トランプ次期米大統領は、シリアの将来について、「トルコが鍵を握る」との見解を示した。
トランプ氏はトルコの軍事力は「戦争で疲弊していない」とした上で、「現在のシリアには多くの不確定要素がある。トルコがシリアの鍵を握るだろう」と述べた。
米国は現在、過激派に対する抑止力としてシリア東部に部隊を駐留させている。トランプ氏はこの部隊の将来について明確な回答を避け、代わりにトルコ軍の強さとトルコのエルドアン大統領との良好な関係を強調。「エルドアン氏と良好な関係を構築した。彼は強力な軍隊を築き上げた」と語った。