Hamee株式会社
(画像=Hamee株式会社)
樋口 敦士(ひぐち あつし)――代表取締役会長
1977年、神奈川県小田原市出身。大学3年時の1997年に創業、1998年にマクロウィル有限会社を設立(現Hamee 株式会社)。2015年4月に東証マザーズへ上場、2016年7月東証一部(現プライム市場)、2023年東証スタンダード市場へ市場変更。2021年、代表取締役社長から代表取締役会長に就任。
By your side, 人を彩るモノづくりと、脱炭素の両立をMissionに、モバイルアクセサリーブランド「iFace」及び、Eコマースバックオフィスプラットフォーム「NEXT ENGINE」の展開を行う。

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 社長と会長の役割の違い
  3. 会長として意思決定の際に重要視していること
  4. 思い描いている未来構想
  5. ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

これまでの事業変遷について

—— これまでの事業の変遷について教えてください。

Hamee株式会社 代表取締役会長・樋口 敦士氏(以下、社名・氏名略) 最初は1997年大学生の時にインターネットスーパーをやろうと、準備しましたが経験不足、スキル不足から思うようにいかず、もっと簡単なことから始めようと考えました。インターネットを使って起業したく、それであれば日本的なものを世界に広めたいという思いもあり、東洋の神秘を感じる天然石アクセサリーを自作しインターネット通販で扱いました。天然石で携帯ストラップも作るようになりピボットし、携帯ストラップのインターネット通販で世界一となりました。受注件数、売上は伸びましたが、単価が低く、利益も少なく、現場も、梱包や出荷に追われる日々で大変でした。

—— それは大変ですね。

樋口 ええ、バックオフィスもアナログで、出荷ミスが多発していました。そこで、外部のシステムを購入したり、システム開発を依頼したりしましたが、良いものができませんでした。なので、結局自分たちでシステムを開発することにして、他にも同じ悩みを抱える企業が他にもあるだろうと考えて、SaaS型のECバックオフィス自動化システムNEXT ENGINEとして販売しました。携帯ストラップ屋とNEXT ENGINEの二軸で事業を進めていましたが、2007年にiPhoneが登場し、その後数年で携帯ストラップの市場がほぼ消滅する事になりました。

—— iPhoneの登場が大きな転機になったのですね。

樋口 そうですね。ただ、iPhoneケースのブランドビジネスへピボットし、iFaceというケースが今では日本でシェア1位になっています。なので、インターネットスーパーから始まり、天然石アクセサリー、iPhoneケースと進化してきました。また、必要性からNEXT ENGINEを開発したという変遷をたどっています。 そして、人を彩るプロダクトとしては、化粧品もiPhoneケースと同じということで、ByURというブランドの化粧品の企画・販売をしたり、Pixioというゲーミングモニターの企画・販売も手掛けています。

—— 多岐にわたる事業展開ですね。

樋口 ええ、スマホそのものの製造にも挑戦していますが、簡単にはいかない部分もあります。最近ではNEXT ENGINEを使ってふるさと納税の支援やECの販売コンサルも行っています。基本的にはピボットを繰り返しながら事業を成長させてきました。

社長と会長の役割の違い

—— 樋口さんは社長に早くバトンタッチされましたよね。現在は、会長と社長として活動されていますが、その役割分担について教えていただけますか?

樋口 役割の違いは特に設けていません。お互いにやるべきことをどんどんやっていくというスタンスです。方針が異なる場合は話し合い、動きが重なっている場合はそれを活かせる場合は活かしますし、整理が必要な時は整理します。社長の水島は数字に強く、会計やIR、戦略の計画を事業部と一緒に作成し、進捗を管理するのが得意です。

一方で、私はビジョンや方向性、具体的な事業の提案、カルチャーの構築などをしています。最近の事例では、ビジョンやミッションのアップデートを行っています。私が提案し、皆を巻き込みながら最終的に一緒に作り上げます。戦略のアップデートが必要になった時には、水島と一緒に考えていきます。

—— なるほど、そういった背景があるのですね。早めに社長を立てることを決めたきっかけは何かありましたか?

樋口 いろいろと理由がありますが、私はどちらかというと想いや、直感から行動するタイプです。以前はマザーズから一部上場企業に移行する時期がありました。企業規模が小さいながらも一部上場企業としてしっかりしなければならないが、得意な人間に任せるべきだと考えました。水島は非常にきっちりしているので、彼に任せれば問題ないと感じました。今では、もっと早く任せても良かったとも思っています。

会長として意思決定の際に重要視していること

—— 意思決定についてお伺いします。会長として、どのような点を重視されていますか?

樋口 重要視しているのは、パーパスやビジョン、ミッションに照らし合わせてどうかという点です。この数年間で最も大きな意思決定の一つは、Hamee(スマートフォン関連事業)とNEXT ENGINEというシステム事業を分けることでした。スマホケースやNEXT ENGINEといった質の異なる事業でも、同じレベルの情報統制やガバナンスが求められます。スピンオフIPOにより、質の異なるビジネスを分けることが、事業当事者の自主性を高め、スピードを早めそれぞれのクリエイティブ魂に火をつけると判断しました。

—— なるほど、パーパスを活かせる組織にしていきたいということですね。パーパスに基づく意思決定というのは、現代のビジネスにおいて非常に重要ですね。

樋口 そうですね。大人の事情ばかり考えていると、クリエイティブ魂は燃えませんし、ユーザーに対して良いサービスや商品を提供できなくなります。だからこそ、自分たちが燃えるために思い切って分けることにしました。これが最近の大きな意思決定であり、その際に重視したのは、やはりパーパスに合っているかどうかです。

思い描いている未来構想

—— 未来についてお聞かせいただけますか。これまでの変遷や現在については伺いましたので、次は将来構想についてぜひお話しください。

樋口 私たちはこれからNE(ネストエンジン)とHameeという二つの会社になるのですが、Hameeとしては、プラスチックを使った製品を多く作っている中で、地球環境に対して負荷をかけている部分もあります。そこで、脱炭素を目指し、逆に地球課題に対してどのように貢献できるかを考えています。多くの中小企業は、私たちも含めて、脱炭素という観点でまだ実現できていないことが多いですが、将来的には他の企業にもソリューションを提供し、人と地球の「らしさ」を大切にする企業になりたいと考えています。

具体的には、私たちのiFace製品を再生しアクセサリーをつくる取り組みを始めています。複合素材のリサイクルは難しいですが、それを石のような美しいデザインに変えることで、新しい価値を生み出しています。

また、他社のプラスチックを引き受けてリサイクルし、アクセサリーにして返す取り組みも行っています。これを発展させる事で、プラスチックの循環を促進し、将来的にはカーボンクレジットを得ることができます。

ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

—— 最後に、ユーザーさんへのメッセージをお願いできますか。特に個人投資家の方々が多く、御社は上場企業ですので、その点も含めて一言いただければと思います。

樋口 はい、私たちは創業して27年、上場して9年が経ちます。NEXT ENGINEを子会社化し、新しい別の会社としての活動を始めています。経営も独立しています。

NEXT ENGINEの未来は明るいです。これまでバックオフィスの自動化に注力してきましたが、これからはフロントにも進出していきます。NEXT ENGINEのユーザーの中には、メーカーとして商品を作り、小売として仕入れている企業も多く存在します。NEXT ENGINEのデータを活用することで、取引の効率化や新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。国内だけでなく海外展開も視野に入れ、ビジネスの楽しさを提供する世界を目指しています。

創業27年経つとインターネット系ビジネスでは老舗と思われがちですが、私たちは常にベンチャースピリットを持ち続けています。初期のベンチャーと比べて、経験や顧客基盤があるという強みを活かし、第二次創業、第三次創業といった気持ちで取り組んでいます。

NEXT ENGINEもHameeも、それぞれに面白さがあります。NEXT ENGINEはストック型のビジネスで強みを持っていますが、Hameeの最近の数字を見ると、ベンチャー感や成長企業としての勢いが感じられ、モバイル、コスメ及びゲーミングアクセサリーの主要3事業においても、「伸びしろしかない」と感じています。どちらも魅力的な企業ですので、ぜひ注目していただければと思います。

氏名
樋口 敦士(ひぐち あつし)
社名
Hamee株式会社
役職
代表取締役会長

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