総括
FX「トランプ関税でリラも下落、フィッチが詳しく現状を分析」トルコリラ見通し
(通貨10位、株価13位)
予想レンジ トルコリラ/円4.0-4.5
*トランプ関税でリラも下落
*フィッチは格付け位維持。フィッチが詳しく現状を分析
*リラは1月は10位
*株価指数は年初来0.57%安
*10年国債利回りはCPIで27%台へ上昇
*1月消費者信頼感指数は改善
*トルコもインバウンド好調
*政策金利は予想通り2.5%利下げで45%へ
*中東情勢の落ち着きと復興がトルコの景気回復のカギ
*1月経常収支は6か月ぶりに赤字
*11月小売売上、自動車生産、鉱工業生産はまずまず
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領
*リラ円は10年連続の年足陰線だが、10年ぶりの対円下落率が一桁%台へ
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
(リラは1月は10位)
リラは1月は10位、株価指数(イスタンブール100)は年初来0.57%安、節目の1万を割っている。10年国債利回りは27%台、1月消費者物価の前月比が予想より高く利回りは上昇した。
トランプ関税では当面のターゲットからは外れているが、円のようにリスク回避でリラが買われることはない。
(1月消費者物価は前月比で予想より上昇)
1月の消費者物価は、前月比5.03%上昇し、予想を上回った。最低賃金の引き上げと新年の物価改定が影響した。一方、前年同月比の上昇率は42.12%に減速した。
前月比の伸び率は昨年12月の1.03%から大幅に拡大した。予想は4.35%だった。
前月比では医療、商品、サービスの伸びが顕著で、前年比では、教育、住宅、医療各部門の伸びが目立った。
昨年5月に75%を超えてピークを迎えたトルコのインフレ率は8カ月連続で鈍化したことになる。インフレの鈍化により、トルコ中銀は過去2回の会合で利下げを決定したが、物価が再び急騰するのを防ぐため、利下げのペースについては引き続き慎重な姿勢を維持する可能性が高い。
(1月消費者信頼感指数改善)
1月消費者信頼感指数は12月の98.9から1月には99.7に上昇した。
トルコ経済の信頼感指数は10カ月ぶりの高水準に達し、年間インフレ期待は低下し、明るい見通しを支えた。
一方、消費者信頼感指数は7月に昨年最低の75.9を記録した後、81.3で年末を迎え、1月は81に達した。
トルコ中銀が市場参加者調査を発表し、12か月先インフレ期待は1.7%低下して25.4%、実体部門は3.8%低下して43.8%、家計は4.3%低下して58.8%となった。
シムセク財務大臣は、インフレ推計はデフレーションのペースを決定する上で重要だと述べ、インフレを恒久的に抑制するために取り組むことを約束した。
(トルコ格付け据え置き、見通しは安定的。トルコの現状分析)
フィッチは、トルコの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を「BB-」に据え置き、見通しは「安定」とした。これは同国の経済政策と対外バッファーに関する慎重な楽観論を反映している。
トルコ中銀が2回連続で2.5%の利下げを実施し、金利を45%に引き下げて金融緩和サイクルを開始したことを指摘し、デフレーションを支援するために引き締め姿勢を維持しながら、2025年末までに金利をさらに28%に引き下げると予測した。
フィッチは、トルコのGDP成長率は2024年に2.9%に鈍化すると推定し、金融引き締め政策、財政再建、最低賃金の緩やかな上昇により、2025年には2.6%の緩やかな成長を予測した。
インフレは依然として同国にとって懸念事項だが、フィッチはインフレが2024年の60.2%から2025年には32.8%に大幅に低下すると予測している。
対外バッファーは改善を示しており、外貨準備高は2024年には140億ドル増加して1550億ドルとなる。プラスの実質金利、低い経常収支赤字、資本流入により対外バッファーが強化され、2026年までに準備高は1750億ドルに達すると予測されている。
中銀の純対外資産も金融ドル化の減少、資本流入、対外借入アクセスの増加に支えられ、2025年初めには390億ドルに急増する見込みだ。
経常収支赤字は2024年にGDPの0.8%に減少し、2025~2026年には平均1.5%になると予測されており、「BB」の中央値2.4%を下回っている。
財政再建は引き続き優先事項であり、地震関連支出の減少や支出規律の強化などの理由により、中央政府の財政赤字は2024年にGDPの推定4.8%に減少し、2025年には3.3%、2026年には3%に低下すると予測されている。
一般政府債務はGDPの26.3%と低い水準にとどまると予想されており、「BB」の中央値55.2%を大幅に下回る。
フィッチは9月にトルコの格付けを「B+」から「BB-」に引き上げ、安定的な見通しを維持した。