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総括
FX「日米首脳会談とドル円需給は」
ドル円=149-154、ユーロ円=153-158、ユーロドル=1.00-1.05
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨首位(7位)、株価15位(15位)、円が独走。代償は日経平均が世界最弱」
(円高株安で日本の資産が減少)
1月最強の円は2月も他の通貨を引き離している。4年連続で弱かった円が上昇を続けている。トランプ氏の不確実性でリスク回避の流れとなり、円が買われているが、その代償として日経平均は年初来から下落を続けている。外貨資産と株式資産の減少で日本にとってはデメリットだ。その分 物価が下がればいいという考えもあるが、過去の例で円高株安では日本の経済は活性化しない。
日経平均は年初来2.78%安。10年国債利回りは1.3%で年初の1.09%から上昇している。
(日米首脳会談とドル円需給)
日米首脳会談では
①日本からの直接投資を1兆ドルに増加させる
②日米貿易不均衡を無くす(日本のLNGの輸入)
①は約2000億ドルの直接投資(30兆円)となる。円安要因だがただ民間企業の都合であり、直ぐに結果が出るとは限らない。政府が何か企業にインセンティブを与えるかどうか。ただ失敗した時の責任は
②これも時間がかかる。米国の生産体制、日本の輸入体制の構築は。米国からの輸入が増加すれば、豪や中東からの輸入が減るので円の需給は中立。ただ米国との不均衡は改善する。
①は時間がかかるがドル買い要因、②は日本の全体のLNG輸入量が増えない限り、円需給は中立。
(外貨投信残高)
今週は1月外貨投信残高の発表を注目したい
(日銀利上げ方向へ)
田村日銀審議委員は、現在0.5%程度の政策金利を2025年度後半には少なくとも1%程度まで引き上げることが必要との見解を示した。不確実性はあるものの、25年度後半には2%の物価安定目標が実現したと判断できる状況になると展望。
また正木日銀企画局長は「基調的な物価上昇率は2%の目標に向かって徐々に高まっている」と発言した。
(賃金・物価上昇)
2024年12月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月から0.6%増えた。プラスとなるのは2カ月連続。
1月の東京都区部の消費者物価は変動の大きい生鮮食品を除く総合が108.7と前年同月比で2.5%上昇した。3カ月連続で伸び率は拡大した。
(GPIFの運用の基本、年金を増やすには)
24年、7-9月 9.1兆円マイナス 円高・株安で
24年 10-12月 10.7兆円プラス 円安・株高で
25年1-3月は??(円高・株安でスタート)
*米ドル「通貨8位(7位)、株価(NYダウ)9位(7位)、ドルは弱い、株も強くはない。今週はパウエル議長証言とCPIに注目」
(ドルも株も強くはない)
ドルは12通貨中8位と強くはない。米株は年初来でNYダウが4.13%高、ナスダックが1.1%高、S&Pが2.45%高、マイナス圏ではないが欧州株より弱い。10年国債利回りは幾分低下して4.495%。
(パウエル議長議会証言)
パウエルFRB議長は、11、12両日に行う半年に1度の議会証言を行う。米雇用の健全な伸びが景気を支える一方、インフレ率の低下が続く兆候はほとんどみられず、金利据え置きスタンスを正当化するだろう。利下げを急いでいない主な理由として、経済の強靱さを強調する可能性が高い。 1月までの3カ月間では雇用者数の伸びが月平均23万7000人で、3カ月ベースとしては23年前半以来の高水準となった。
(今週は1月の消費者物価の発表)
1月の消費者物価(CPI)では、食品とエネルギーを除くCPIが前月比0.3%上昇と予測されている。コアCPIは前年同月比では3.1%上昇と見込まれ、昨年12月の3.2%上昇よりわずかに伸びが鈍化する予想。ただ、昨年半ばごろからの低下はわずか0.2ポイントにとどまっている。
インフレは2023年と24年前半に大きく鈍化したが、昨年終盤に労働市場が活気づいた時期に重なるタイミングで、さらなる物価上昇率低下への進展が実質的に停滞。
(1月雇用統計 就業者数が予想下回る)
1月雇用統計では、農業分野以外の就業者は前月から14万3000人増加したものの、予想の17万人程度の増加を下回った。
一方、失業率は前の月から0.1ポイント低下して4.0%。
インフレに結びつくデータとして注目される労働者の平均時給は、
・前年同月比で4.1%、前月と変わらず
・前月比で0.5%増、前月は0.3%増とそれぞれ上昇した。
パウエル議長は「労働市場は堅調で下振れリスクは和らいでいるようにみえる」などと述べ、利下げを急ぐ必要はないという考えを示している。
ただ、トランプ政権が優先課題として取り組む不法移民対策や、連邦政府の人員削減などが堅調な労働市場に影響を与えることにならないかが今後の焦点となりそうだ。
(FRBは短期、政府は長期)
ベッセント財務長官は、トランプ大統領が金利低下を望むと言う時、それはFRBが設定する短期金利ではなく10年物国債利回りのことを指していると述べた。10年債利回りは、トランプ氏が就任した1月20日の前に4.8%を超えたが、足元では4.4%前後に下がり、昨秋からの急上昇が一部反転している。
規制緩和が実施されるとの見通しに加え、最近示した国債管理計画など、複数の要因が相まって利回り低下につながったのかもしれない。
*ユーロ「通貨9位(7位)、株価首位(首位)DAX)、じり安。独は3年連続マイナス成長か、独株価は世界最強」
(じり安、ドルに抜かれる)
ユーロは先週より順位を落とし、7位から9位へ後退、ドルにも抜かれた。対円で年初来3.97%安。ただ株価は強く、独DAXは年初来9.43%高。
(ドイツ経済、統一後で初の3年連続マイナス成長か」
ドイツ商工会議所(DIHK)は、加入企業2万3000社に対する調査をもとに、今年の経済成長率をマイナス0.5%と予想した。この予想は昨年10月時点のゼロ成長から悪化し、政府見通しのプラス03%も大きく下回った。DIHKは「これほど悪い雰囲気と数字は見たことがない」と述べた。2024年には、海外との競争、エネルギーコスト高騰、金利の高止まり、不透明な事業見通しからドイツ経済は2年連続で縮小した。25年も縮小すれば、再統一以来初めて3年連続のマイナスとなる。
(1月のユーロ圏消費者物価)
1月のユーロ圏消費者物価は前年比2.5%上昇で、予想および前月の2.4%上昇をわずかに上回った。
エネルギー価格が押し上げ要因となった。インフレ加速は歓迎できないが、1月のデータはのラガルドECB総裁の見解から逸脱はしていない。ラガルド総裁は4会合連続の利下げを決定した理事会後の会見で、インフレ率は今後数カ月はこの水準前後で推移した後、2%目標に向けて減速する可能性があると述べた。ただトランプ米政権の関税政策によって、物価や金融政策の見通しが変わる可能性もある。
(12月小売売上 弱い)
2024年12月のユーロ圏小売売上高は、前月比0.2%減となった。予想の0.1%減を下回った。12月のユーロ圏では、食料・飲料・たばこが0.7%減と、全体を押し下げた。主要国では、ドイツが1.6%減と大きく下げ、フランスとオランダも共に0.2%減と落ち込んだ。一方、イタリアは0.3%増、スペインは1.4%増、ベルギーは1.3%増と伸びた。
(ラガルドECB総裁、ナーゲル独連銀総裁登場)
今週はラガルド総裁始め、タカ派の独連銀ナーゲル総裁らの講演に注目したい
*ポンド「通貨11位(11位)、株価4位(3位)、トルコと最弱通貨争い。今週のGDPは弱い見込み」
(ポンド安株高)
ポンドは弱い、対円ではかなり弱く年初来4.55%安、対ドルでは0.92%安。ポンド安で株価(FT100)は強く年初来6.45%高。10年国債利回り4.48%。
(予想通り0.25%利下げ)
英中銀は2月6日、政策金利を予想通り0.25%引き下げ4.5%とした。2名の委員(マン、ディングラ両氏)0.5%の利下げを主張したが、インフレ高進が見込まれ、世界経済の不確実性に直面する中、今後の利下げには「慎重になる」とした。
ベイリー総裁は、インフレが引き続き鈍化傾向にあり、追加利下げが可能になるとしながらも、利下げ幅やペースは「会合ごとに判断する必要がある」と述べた。中銀は、米国の関税が英国のインフレにどのような影響を与えるかは不明としつつも、世界的な関税の上昇は成長鈍化を引き起こす公算が大きいと指摘。中銀は「国内経済と世界情勢を注意深く監視し、追加利下げに向けて段階的かつ慎重なアプローチをとる」とした。
(見通し暗い、今週はGDP)
前回はモルガン・スタンレーが、英国の今年のGDPの伸び率を0.9%と、従来の1.3%から引き下げたと書いたが、英中銀は、24年4Qについて0.1%のマイナス成長になったとの見方を示した。2025年の成長見通しは半分の水準に下方修正。弱い企業・消費者センチメントや鈍い生産性の伸びを踏まえ、今年の成長率見通しを半減させ0.75%とした。利下げペースが11月よりも緩やかになり、今年末までに政策金利が4.25%程度に低下するという市場予想に基づいている。これまでは3.75%に低下するとみられていた
インフレについては中銀の目標である2%の倍に近い水準に上昇する可能性があると予想しつつも、一時的という見通しを示した。英中銀は、すでに2.5%の水準にあるインフレが3Qに3.7%程度でピークに達するとし、前回のピーク予測である2.8%から引き上げた。エネルギー価格上昇や水道・バス料金値上げが予定されていることが背景。インフレが目標の2%に戻るのは、27年4Qと見込み、前回予測から6カ月後ずれした。
(インフレ期待が低下)
シティとユーガブが1月の月次調査によると、英国民のインフレ期待が低下に転じた。1年先のインフレ期待は3.7%から3.5%に低下。5-10年先では3.9%から3.7%に低下した。
シティは、インフレ期待が最近上昇していたため、安心できる内容だと指摘。今後もインフレ期待の安定が予想されると述べた。ただ「データの水準は依然、懸念要因だ」とし「総合インフレ率は今後数カ月で大幅に加速する見通しで、基調インフレの動きを巡る不透明感は今後数カ月、高止まりする可能性が高い」と述べた。
*豪ドル「通貨4位(4位)、株価8位(10位)、来週は利下げか」
(豪ドルは円とドルの狭間)
先週の週足は対円で陰線、対ドルで陽線。円と豪ドルの間で動く。年初来で対円は2.4%安、対ドルで1.33%高。株価指数は年初来4.27%高。10年国債利回りは4.4%。
(来週は利下げか、消費はまずまずだが物価の伸びは縮小)
12月の小売売上高は前月比0.1%減少した。前月は0.7%増加、予想は0.7%減。一方、四半期ベースでは、値引き効果で売上高は増加した。
4Qの小売売上高は、前年同期比1.0%増、予想の0.8%増を上回り、2022年序盤以来最大の伸びとなった。
12月の家計支出指数は、前月に比べて0.4%上昇した。裁量支出の増加により3カ月連続のプラスとなった。新車購入、外食、航空券、ストリーミングサービスがけん引。衣料品・履物、家具、家庭用機器、レクリエーション・文化用品も引き続き好調で、裁量支出の増加に貢献した。
今回の両指標は今月の利下げ予想に影響はなさそうだ。インフレ指標が軟調だったことでトレーダーは利下げをほぼ織り込み済み。 先物市場は現行4.35%の政策金利が0.25%引き下げられる確率を95%織り込んでおり、年末までに2回の利下げが見込まれている。 豪の4大銀行がいずれもRBAが2月に利下げすると予想していることを意味する。 4Q消費者物価の伸び幅縮小のよるものだ。
(今週から来週の注目指標は多い)
今週は2月ウエストパック消費者信頼感指数、1月AB企業景況感指数。2月消費者インフレ期待指数がある。来週は政策金利に加えて4Q賃金指数、1月雇用統計と続く
(トランプ関税の影響は)
トランプ大統領は、メキシコとカナダへの関税発動を1カ月延期すると発表した。一方で、中国への10%の追加関税は発動。中国はこれを受け、報復関税を課すと表明。中国が米国に対抗関税を課すと発表したことで、世界最大の経済大国である米国と、豪の最大貿易相手・中国との間で貿易戦争が現実のものとなる。
*NZドル「通貨5位(4位)、株価18位(18位)、対円では弱いが対ドルでは強い。リセッション中、利下げか。投資誘致政策へ」
(リセッション中)
通貨は5位と弱くもないが、株価(NZ50)は弱く年初来1.59%安。NZ株より弱いのは日経平均くらいだ。NZドルは昨年下がり過ぎたことで小反発。ただ経済のファンダメンタルズは依然弱く
株価は回復しない。
(経済指標は弱く、2月は0.5%利下げか)
現在リセッションだが、最近の経済指標も弱い。2024年4Q失業率は5.1%に上昇し、4年ぶり高水準となった。今月下旬にさらに政策金利を0.5%引き下げる見込みが強い。 労働市場の見通しは軟化しており、金融緩和を前倒しする必要がある。
(今週の指標)
今週は1Q企業インフレ期待、1月製造業PMIなどの発表がある。
(景気回復へ苦肉の策)
NZといえば、中国からの移民が多く、不動産価格や物価の高騰を招くとして移民抑制策を続けていたが、その方針を転換し始め、NZ国内投資への刺激策を打ち出し始めた。
昨年、出国した人の数が過去最高を記録した。昨年11月までの1年間の出国者は前年比28%増の12万7800人。このうち50%以上がNZ国民だった。
・海外投資のワンストップショップとして政府国際経済開発機関内に「インベスト・ニュージーランド」を設立
・裕福な移民を誘致し、経済回復を促進するため、英語能力要件の削除など、いわゆる「ゴールデンビザ」プログラムを簡素化。言語テストの廃止に加え、投資家が国内に滞在する必要がある期間など、投資に対する他の潜在的な障壁も調整される
・ビザ規制を緩和し、観光目的で同国を訪問した人が滞在中にリモート勤務ができるようにする。