人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「米国追加関税をWTOに提訴。人民元は7位。バスケット制でドルより弱からず」人民元見通し

(通貨7位、株価17位=上海)

予想レンジ 人民元/円 20.5-21.0

(ポイント)
*ドルは弱く11位、人民元はつれ安だが7位、バスケット制でドルより弱からず
*香港ハンセン指数がテック株主導で強い
*米国の追加関税、中国商務部がWTOに提訴
*本日は最優遇貸出金利の決定
*元相場の安定を目指す、人民銀総裁
*習国家主席が民間シンポジウムに出席(AI関連)
*海外資本が中国から流出、中国資本は北米から撤退
*対面の米中首脳会談が待たれる
*安いディープシークとBYDが世界に影響
*GDP、24年は5%成長

(ドル安につれ安だが7位。香港株が強い)
 人民元は年初来7位、ドルの比率が高いバスケット制度なのでドルよりは弱くはならない。株価は上海総合指数が年初来0.01%安、香港ハンセン指数は強く14.38%高。日経平均は1.83%安。10年国債利回りは1.69%で当局のけん制もあり上昇している。

(本日は最優遇貸出金利の決定)
 本日は2月の最優遇貸出金利(LPR)の決定。1年物3.1%、5年物3.6%で据え置き予想。

(元相場の安定、人民銀総裁)
人民銀行の潘総裁は、人民元相場の安定は世界の金融と経済の安定の鍵との見方を示すとともに、中国は為替レートの決定において市場に決定的な役割を演じさせ続けると述べた。「元は市場のボラティリティーが高いにもかかわらず、ほぼ安定している」と語った。

(習主席、異例にも民間企業シンポジウムに出席、AI活用重視か)
習近平国家主席が民間企業に関するシンポジウムに出席した。 習氏がこうしたシンポジウムに参加するのは異例。中国政府は景気減速や対米関係の緊迫化に直面している。アリババ共同創業者ジャック・マー氏らが出席。 習氏は中国が半導体の自給自足を実現する必要性を強調しており、AIを活用して経済発展を推進する意向を示している。
米国との技術競争のために中国政府が民間企業を必要としていることを暗黙裏に認めたと言える。シンポジウムにアリババ、小米科技、比亜迪(BYD)、華為技術(ファーウェイ)の創業者らが出席したと報じられている。

(需給その1、中国への直接投資、過去最大の流出超)
中国への直接投資は2024年に過去最大の流出超となった。米国との貿易戦争が再開されたことで、資金流出は今後も続く可能性がある。2024年の対中直接投資(FDI)は1680億ドルの流出超。1990年にさかのぼる同データで最大となった。対中直接投資は21年には過去最大の3440億ドルを記録したが、ここ数年落ち込んでいる。

(需給その2、中国企業の北米投資、前年同期比90%減)
中国勢による北米への投資は2024年4Qに減少し、新型コロナ禍の最悪期を下回る水準となった。米国による中国抑え込み政策が投資を落ち込ませただけでなく、トランプ氏の米大統領選勝利を見越して企業が様子見姿勢を取ったことが一段の悪化を招いた公算が大きい。
  4Qに中国企業のカナダ、メキシコ、米国への新規投資額は1億9100万ドルにとどまった。前年同期比で90%余り減少したことになる。中国企業が同四半期に発表した対外投資は計165億ドルで、北米向けの少なさが分かる。最大の投資先は中東・アフリカだった。
 中国企業に対する米国の敵対的姿勢は強まっている。米国は関税措置によって中国からの輸出を制限または阻止しているほか、対米投資制限も強化している。