
総括
FX「中国は静かに報復関税。米中首脳会談6月か、人民元はドルにピッタリ」人民元見通し
(通貨9位、株価17位=上海、香港ハンセン首位)
予想レンジ 人民元/円 20.2-20.7
(ポイント)
*中国は静かに報復関税発動
*人民元はドルにピッタリとつく
*香港ハンセンは世界最強
*米中首脳会談、6月か
*1-2月貿易収支 輸出伸びず
*2月消費者物価下落
*来週は指標多い
*成長目標5%前後維持 財政出動で内需拡大
*国防費増加、AI重視
*2月PMIはいずれも改善
*米国の追加関税、中国商務部がWTOに提訴
*安いディープシークとBYDが世界に影響
(人民元は安いドルに寄りそう。香港ハンセンは世界最強)
人民元は年初来で9位、ドルの10位にぴったり寄り添っている。対円では年初来4.39%安、対ドルで1.34%高。
上海総合指数は年初来0.6%高、香港ハンセン指数は一時20%を超える伸びを示したが現在は17.65%高で依然世界最強、AI景気が続いている。
10年国債利回りは1.92%へ上昇。
(米中首脳会談、6月か)
米中は6月に米国でトランプ大統領と中国の習近平国家主席の会談を実施する可能性について協議している。 協議はまだ初期段階にあるとしている(WSJ)。
(輸出伸びず、1-2月貿易収支)
1-2月の貿易統計によると、米中貿易摩擦の激化の影響を受けて輸出が大幅に減速した。輸出に大きく依存している中国の景気回復に打撃を与える可能性がある。一方、輸入は予想に反して減少した。
輸出は前年同期比2.3%増にとどまり、予想の5%増を下回った。昨年12月は10.7%増だった。
輸入は8.4%減少した。予想は1%増、12月は1%増だった。
春節の時期のずれによる影響を調整するため、1月と2月の貿易データを合算して発表している。
輸出の鈍化は貿易戦争を避けるために昨年末活発だった前倒し輸出が鈍化したことが一因。輸入の急減は、内需の低迷と加工貿易向け輸入の減少の両方を反映している可能性がある。
(2月消費者物価下落、春節の影響)
2月の消費者物価は前年比0.7%下落で、昨年1月以来のマイナスだった。予想は0.5%の下落、1月は0.5%上昇だった。昨年は2月が春節であり物価が上昇していたので反動の下落。
前月比では0.2%下落。1月は0.7%上昇、予想は0.1%下落だった。
政府は先週全国人民代表大会(全人代)で今年の成長率目標を昨年と同じ5%前後とし、インフレ率目標は昨年の3%前後から2%前後に引き下げた。
米国との貿易戦争の激化を受けて消費拡大に向けた取り組み強化も明らかにされたが、デフレ圧力は今後も続くと予想している。
2月の生産者物価は前年比2.2%の下落。下落幅は1月の2.3%からは縮小したものの、予想の2.1%より大きくなった。
中国の輸出企業は世界的な関税の脅威と過剰生産能力で価格競争に巻き込まれ、多くが製品の値下げと賃下げを余儀なくされている。
(来週は指標多い)
来週は2月鉱工業生産、小売売上、固定資産投資、住宅価格指数、失業率、LPRなどの発表がある。