
総括
FX「ランド急落、DAが連立政権崩壊を示唆」南アランド見通し
「通貨5位、株価8位」
「予想レンジ 南アランド円7.8-8.3」
(ポイント)
*今年は健闘していた南アランドだが、予算問題悪化で先週末下落
*ただ株価は底堅い
*DAがANCに警告を発する(VAT問題)連立政権危機
*問題点、課題は多い。米国との外交関係は悪化し続けている
*1Q消費者信頼感指数が悪化
*今週は2つのPMIの発表
*中銀はインフレターゲットの見直しを.提案
*水問題。停電も再開
*援助打ち切りの米に代わり中国、EUが支援約束
*ペルソナ・ノン・グラータ、米国が駐米南ア大使に宣言
*4Q・GDPは予想下回るも前期より改善
*南アは「投資適格」を目指す
*今年秋にAGOA法(南アから米国への免税輸出)の見直し
(連立政権危機で、対円で後退。対ドルでは変わらず。株価はまずまず)
3月は対円でここまで陽線だが先週末はVAT引き上げ問題で連立政権の瓦解が危惧され急落した。対円では5位で年初来2.28%安と前週の1.44%安から後退した。対ドルでは3.36%高と前週の3.29%高より小幅上昇。
南ア全株指数は年初来6.51%高。10年国債利回りは10.7%。
(DAがANCに警告を発する)
民主同盟(DA)は、アフリカ民族会議(ANC)が経済政策の統制を共有することに消極的であると批判し、予算をめぐる行き詰まりがエスカレートし、連立政権の二大政党間の関係が緊張している。
ANCは先週金曜日、DAによる経済政策の管理を共同で行うという提案に難色を示した。
この計画が拒否されれば、いわゆる国民統一政府の崩壊につながる恐れがある。
DAは「経済成長と雇用創出」のためにANCと連立を組んだと、DAのスティーンハウゼン党首は述べた。「もし我々がそうすることができず、ANCが我々を重要な決定から締め出そうとするなら、我々には経済政策に影響を与える手段がない」と語った。
昨年の選挙で圧倒的な勝利を収められなかった後、企業寄りの連立政権が樹立されたが、ANCは教育、健康保険、土地収用に関する新法を一方的に押し通し、DAとその小規模なライバル政党の一部を怒らせている。 ANCとDAの間の緊張は先月、ゴドンワナ財務大臣による付加価値税を2%引き上げる提案をめぐって激化した。
この計画に対してDAやANC内部を含む他の政党が反対したため、大臣は2026年半ばまでにVATを1%引き上げることを提案したが、この政策に対する議員の支持はまだ確保できていない。
一連の予算案の最初のものは来週議会に提出される予定で、議員らは財政枠組みの議論を開始する。他の予算案の承認プロセスは5月まで続くと予想される。
ゴドンワナ財務大臣は、予算を承認させるためにさまざまな政党の支持を得ると述べている。ビジネス・デイなどの地元メディアは、ANCが予算案の成立を確実にするために左派の経済的自由闘士を連立政権に引き入れようとしているのではないかと推測している。
「もしEFFと取引をしたいのであれば、統治と経済の両方にその結果を負わなければならない」とスティーンハウゼン氏は語った。現連立政権が崩壊する可能性はあるかとの質問に対し、「ANCがEFFを政権に引き入れれば、そうなるだろう」と答えた。
(問題点、課題)
VAT引き上げ問題=財政赤字の他に、土地収用法、停電、水問題、米国からの援助停止示唆、南アの米国大使に国外退出命令、AGOAでの関税免除停止懸念、などがある。特に米国との関係が悪化していることは苦しい。EUや中国が援助、協力を申し出ているが。
またサンデー・タイムズによると、米国は南ア国防軍(SANDF)との軍事援助および協力関係を打ち切ったという。
(消費者信頼感指数が悪化)
1Q消費者信頼感指数はマイナス20、前期のマイナス6から悪化した。対米関係悪化や付加価値税引き上げ観測がある。
(2月卸売物価)
2月卸売物価は前年比で1%上昇、1月の1.1%上昇から低下、予想は1.3%上昇。消費者物価同様に落ち着いている
(今週は2つのPMI)
今週は2月貿易収支、3月ABSA製造業PMI、S&P・PMI等の発表がある