南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「トリプル安。連立政権崩壊の危機。対米関係はさらに悪化」南アランド見通し

「通貨10位、株価10位」
「予想レンジ 南アランド円7.2-7.7」

(ポイント)
*トリプル安
*連立政権崩壊危機、対米関係悪化
*予算案決着せずDAがANCに警告を発する
*企業のリーダー達は連立政権の維持を求める
*経済指標はマチマチ
*南ア貿易相手国、一に中国、二に米国
*問題点、課題は多い
*1Q消費者信頼感指数が悪化
*中銀はインフレターゲットの見直しを提案
*水問題。停電も再開
*援助打ち切りの米に代わり中国、EUが支援約束
*ペルソナ・ノン・グラータ、米国が駐米南ア大使に宣言
*4Q・GDPは予想下回るも前期より改善
*南アは「投資適格」を目指す
*今年秋にAGOA法(南アから米国への免税輸出)の見直し

(トリプル安)
南アランドは先週5.65%安、南ア全株指数は8.95%安、10年国債も売られ利回りは前週末の10.7%から11.11%へ上昇した。連立政権崩壊の危機、米政権から30%の関税を発動されたこと、南アの最大貿易相手国の中国が米国に対して34%の報復関税賦課を表明したことなどが重なってのトリプル安であった。

(予算案決着せずDAがANCに警告を発する)
連立崩壊も危惧されたANCのVAT(付加価値税)の2%引き上げ案を巡る攻防は上げ幅を0.5%へ縮小するところまで進んだが決着がつかず、30日間審議が延長されることとなった。その間、増税撤廃による280億ランドの不足分を埋め合わせるために、代替歳入案とそれに伴う支出削減が検討される。

(経済指標はマチマチ)
2月貿易収支は209億ランドの黒字、1月の168億ランドの赤字から回復した。3月ABSA製造業PMIは48.7で2月の44.7から回復。3月S&P・PMIは48.3で2月の49.0から悪化した

(対米関係さらに悪化)
米下院議員ロニー・ジャクソン氏は、米国と南アの二国間関係の全面的な見直しを求める「2025年米国・南アフリカ二国間関係見直し法案」を提出した。
この法案は米国の敵対国を支援する南ア当局者に制裁を課すために必要な手段をトランプ米大統領に与えることで、同氏の外交政策の推進に役立つだろうと述べた。
敵国には中国、ロシア、イランなどが含まれる。

「南アは米国との関係を大胆に放棄し、中国、ロシア、イラン、テロ組織と連携している。これは重大な結果を招く裏切り行為だ」とジャクソン氏は述べた。

ジャクソン氏はイスラエルの強力な支持者であり、議会イスラエル同盟議員連盟の共同議長を務めている。

(企業がラマポーザ大統領に緊急メッセージを送る)
南アのビジネスリーダーたちは、同国の二大政党(ANCとDA)のリーダーたちに書簡を送り、意見の相違を解決して与党連合を維持するよう要請した。
国家予算をめぐる論争で危機に瀕している政府の崩壊は、雇用喪失や経済成長への悪影響につながると経済界のリーダーらが述べていると記されている。
ラマポーザ大統領は月曜日(4月7日)に閣議を招集し、DA閣僚の政府内での将来について議論する予定だと報じられている。市場はこの騒動に対して良い反応を示していない。

GNUが崩壊することで南アが失うものは大きい。この同盟は2024年の選挙以来、同国に対する感情の驚くべき好転の基盤の一つとなっているからだ。DAとANCの連携は南アにとって最良の結果と見られ、GNUは企業や改革を支持すると見られ、かつて多数派だった政党の信頼性をある程度回復した。