この記事は2025年4月15日に「CAR and DRIVER」で公開された「【ニッポンのSUV】ストロングHVはクロストレックの本命。スバル伝統のオールラウンド性と先進の輝きが光る!」を一部編集し、転載したものです。


【ニッポンのSUV】ストロングHVはクロストレックの本命。スバル伝統のオールラウンド性と先進の輝きが光る!
SUBARUクロストレック・プレミアムS:HEV EX/価格:7CVT 405万3500円。スバル初のストロングHVは新開発2.5リッター水平対向4DOHC16V(160ps/209Nm)とモーター(119.6ps/270Nm)の組み合わせ。トヨタのHV技術をベースにスバル独自のこだわりと工夫を盛り込んだ。燃費はWLTCモード18.9km/リッター。63リッターの大容量タンクで満タン1000km超の航続距離を実現。駆動方式は道を選ばないシンメトリーAWDを採用

ストロングHVはトヨタの技術をベースにスバルのこだわりを傾注

スバルは、SUVが一般的でない時代から、いちはやくSUVテイストのモデルを送り出してきた。
惜しくも日本仕様の終了が伝えられたが、レガシィアウトバック(当初の車名はグランドワゴン、後にランカスター)はちょうど30年前の1995年8月に登場した。北米の新たなニーズに応えるために開発されたクルマで、クロスオーバーSUVの先駆けになった。

現在、スバルの主力SUVを務めるフォレスターは、1997年に誕生。当初は車高が低めだったが2007年デビューの3代目からは、本格的クロスオーバーSUVらしいパッケージに成長。2025年4月に待望の5代目に発展した。

【ニッポンのSUV】ストロングHVはクロストレックの本命。スバル伝統のオールラウンド性と先進の輝きが光る!
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一方、クロストレックは、アウトバックやフォレスターという革新的なクロスオーバーSUVを送り出してきた知見を活かした都市型SUVだ。スバルのエントリーモデル、インプレッサをベースに、XVのネーミングで2012年9月に登場した。

4代目となる現行型は、海外向けと共通のクロストレックに改名。スバルSUVの主力の1台というポジショニングを明確にした。車名は「クロスオーバー」と「トレッキング」を組み合わせた造語。どんな場所にもマッチするクルマという意味を込めたという。

クロストレックの販売は好調である。2022年12月の登場から2024年末までで、計4万5379台を販売したというから、なかなかのものだ。当初はマイルドHV(e-BOXER)のみだったが、2024年12月には待望のストロングHV(S:HEV)を追加、注目が高まっている。S:HEVの販売比率は全体の64%(2024年12月)。価格差があるにもかかわらず高い販売比率に達したデータから、多くのユーザーがS:HEVに期待している様子がわかる。

スバル初のストロングHV、S:HEVは、トヨタのHVシステムと共通性の高いトランスアクスル構造のシリーズパラレル方式。スバルらしくエンジン縦置きとしているのが特徴で、これにより伝統のシンメトリカルAWDを実現した。このクラスとしては大きめな2.5リッターボクサーエンジン(160ps/209Nm)に大容量のモーター(119.6ps/270Nm)を組み合わせた点も話題だ。ラインアップはプレミアムS:HEV(383万3500円)とアイサイトX標準の同EX(405万3500円)の2タイプとなる。

ストロングHVは力強いパフォーマンスと信頼の走りを披露

S:HEVのクロストレックで、青森の市街地から豪雪で知られる酸ヶ湯温泉までのルートを走行した。プロトタイプに試乗した際に好感触を覚えたので、公道でも完成度は高いはずと予想していた。はたして実車は、「やはりよかった」というのが率直な感想だ。

S:HEVはアクセルレスポンスがリニアで力強く、とても扱いやすい。e-BOXERでは全体的に物足りなさを感じたが、S:HEVはパワフルだ。とくに発進加速は段違い。ストロングHVは軽やかに加速し、余裕がたっぷりある。モーターだけで思った以上に粘り、エンジン停止~再始動時の音や振動もよく抑えられているので煩わしく感じる場面はなかった。

乗り心地のよさと静かさも印象的である。e-BOXERに対していろいろ手を加えた改良が効いている。中でもリアサスペンションのダンパーロッドを延長して抵抗を低減。足回りが一段とスムーズに動くようになった改善効果は大きい。

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雪を求めて青森まで行ったにもかかわらず、主要な道はすっかり除雪されていた。温泉の周辺に少し残っていた雪道を走行。舗装路で感じた乗りやすさ、乗り心地のよさは雪上でも変わらない。

アクセルワークで駆動力を意のままにコントロールできるのが大きな強みだ。スバルがこだわる機械式AWDは、駆動力がプロペラシャフトを介してしっかり伝えわるメリットがあり、アクセルを踏めば着実に前に進んでいける。いざとなれば深雪道でも高い走破性を誇るX-MODEが実力を発揮してくれる。

高速道路も走ったが、EXグレードはアイサイトXが搭載されたのがありがたい。より確実に斜め後方の安全を確認してくれる。車線変更をクルマに任せることができるのも大きなメリットである。

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WLTCモード燃費は18.9km/リッター。実走燃費もよさそうな感触だった。燃料タンク容量が68リッターと、e-BOXER仕様比で15リッター拡大された効果もありメーターに表示される航続距離が、「本当か!?」と思うほど長い点も印象に残った。

荷室の壁面にはAC100Vの電源コンセントが付けられるのもS:HEVならでは。悪路も雪道も高速道路も、より安心して安全に走れて、しかも走りがよく燃費もいい。「ガシガシ使えるアクティビティギア」たるクロストレックならでは価値を、より高めたのがS:HEVである。

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Writer:岡本幸一郎、Photo:SUBARU+横田康志朗


(提供:CAR and DRIVER