
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年5月19日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼16日(金)の為替相場
(1):日本4四半期ぶりのマイナス成長
(2):米消費者期待インフレ率が上昇
(3):ムーディーズ 米国を格下げ
▼16日(金)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:ドル売りが再び活発化する可能性も/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
16日(金)の為替相場

期間:16日(金)午前6時10分~17日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本4四半期ぶりのマイナス成長
日本1-3月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比年率-0.7%と4四半期ぶりのマイナス成長となった。物価高の影響などでGDPの5割超を占める個人消費が力強さを欠いたため市場予想(-0.3%)を下回った。
(2):米消費者期待インフレ率が上昇
米5月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値は50.8と市場予想(53.4)に反して前月(52.2)から低下し、2022年6月以来の低水準となった。ただ、米国と中国が関税の大幅引き下げで合意した11日の2日後にミシガン大の調査が締め切られたことから、信頼感指数が合意を十分に織り込みきれていない可能性もあるとの見方からドル売りの動きは限定的だった。むしろ、消費者のインフレ期待が大きく上振れしたことで米長期金利が上昇に転じたためドル買いが優勢となった。消費者の1年先の期待インフレ率は7.3%と前月(6.5%)からさらに上昇。5-10年の期待インフレ率は4.6%と1991年以来の水準に上昇した(前月4.4%)。
(3):ムーディーズ 米国を格下げ
大手格付け会社ムーディーズは米国の信用格付けを最高位の「Aaa」から「Aa1」へ1段階引き下げたと発表。ムーディーズは格下げの理由について「歴代の米政権と議会は、巨額の年間財政赤字と金利負担の増加傾向を反転させる措置で合意できなかった」と説明。「米国が持つ経済・財政の著しい強さは認識しているが、これらの強みだけで財政指標の悪化をもはや完全に埋め合わせることはできない」と指摘した。これを受けてドルは上げ幅を縮小。米国債は下落幅を拡大した(金利上昇)。ただ、金曜日のNYクローズ直前というタイミングであったことから、市場は米国の格下げを十分に消化する時間はなかった模様。なお、ムーディーズは米国の格付け見通しについては「ネガティブ」から「ステーブル(安定的)」に引き上げた。