米関税政策の不透明感と日本市場への影響分析【外為マーケットビュー】
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動画の内容をギュッと要約
関税政策の現状と期限延長
関税問題は7月9日の期限が8月1日まで延長されました。ホワイトハウスから世界10数カ国に関税率通知があり、日本は25%と通知を受けた国の中では最低水準でした。2月から始まった関税問題は何度も延期されており、関税が決定されていないためインフレへの影響も現れていません。トランプ大統領が決断できない限り、パウエル議長も利下げを判断しにくい状況が続いています。
昨年の日銀介入と市場への影響
昨年7月11日・12日の日銀大規模介入では、2日間で5兆円という市場出来高の7倍に相当する異例の規模で実施されました。この結果、ドル円は160円から130円まで円高が進行し、株価も4万円から3万円台まで急落しました。
政策効果の逆説と年金運用への打撃
介入と利上げの目的はインフレ抑制でしたが、実際には物価が上昇し、日本の1-3月期はマイナス成長となりました。GPIFの2024年度運用益はわずか1.7兆円、運用利回りは0.7%と国債利回りを下回る結果となりました。特に1-3月期は8兆円の損失を計上し、政策目標と結果が正反対となっています。
関税の未実施と今後の影響予測
関税はまだ実施されていないため、その影響も現れていません。関税が実施されると、日本の場合は輸出減少によりドル高要因となります。しかし、より重要なのは資本需給の動向です。
資本需給と外貨投信残高の動向
為替相場の中長期的な決定要因として、貿易需給と資本需給が重要です。特に外貨投信残高の動向が注目され、1-3月期のオルカン残高大幅減少時は円高、5月の6兆円増加時は円安要因となりました。円は4月まで最強通貨でしたが、現在は5位まで後退しています。今週金曜日発表の外貨投資残高が注目材料です。
各国中央銀行の政策スタンス
ECBはデギンドス副総裁がユーロ1.20まで介入しないと表明し、歴史的に介入を行わない方針を維持しています。BOEはリーブス財務相をめぐる混乱が沈静化し、8月利下げが予想されています。豪RBAは市場予想に反して据え置きを決定しました。コアインフレ高止まりが理由ですが、利上げ姿勢ではなく慎重な様子見スタンスです。
テクニカル分析と今後の展望
ドル円はボリンジャーバンド2シグマ上限にあり反転しやすい水準にある一方、ユーロは9日連続陽線が止まったものの月足6か月連続陽線の強さを維持しています。ユーロ円は週足6週連続、年足5年連続の陽線を記録しています。
関税の実際の影響はまだ現れておらず、早々に影響なしと判断するのは時期尚早です。当面は貿易需給と外貨投信需給の動向が重要な判断材料となります。
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。

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