赤字幅拡大のANAP ビットコイン事業は再建の切り札となるか?
(画像=「セブツー」より引用)

アパレルブランド「アナップ(ANAP)」などを展開するANAPホールディングスは7月15日、2025年8月期の第3四半期決算を発表した。累計売上高は10億1700万円、営業損失は8億3600万円と赤字幅が拡大したものの、債務免除益として13億9900万円を特別利益に計上し、最終的な四半期純利益は5億7900万円の黒字となった。なお、本決算から連結ベースでの業績開示に移行しているため、前年同期との比較は公表されていない。

■ 店舗・ECともに赤字継続、ライセンス事業は唯一黒字
主力の店舗販売事業は、不採算店の閉鎖や仕入れの抑制を進めたが、3億100万円の営業赤字。インターネット販売事業も、不採算な外部ECモールから撤退を進めているが、5400万円の赤字だった。卸売販売事業は赤字幅こそ小さいものの、200万円の営業損失となっている。一方で、ライセンス事業は新規取引先の獲得が奏功し、300万円の営業黒字を確保した。

■ ADR手続きで債務超過を解消、財務再建へ前進
ANAPホールディングスは2024年8月期末時点で約20億7700万円の債務超過に陥っていたが、2024年7月31日付で事業再生ADR手続を申請・受理された。その後、金融機関との債務免除交渉や新株発行などにより財務体質の立て直しを進めている。資金調達面では、ビットコイン関連事業にも乗り出すなど、新たな収益源の確保にも動いている。

■ かつてはメタバース関連事業にも参入したが再建の道筋は?
ANAPホールディングスは、2025年8月期の通期業績予想を未定として公表していない。第3四半期時点でも営業・経常損失が継続しており、会社側は「継続企業の前提に重要な不確実性がある」との認識を示している。事業構造改革と財務再建が進む中、新規参入したビットコイン事業は再建の切り札となるか、今後の焦点となりそうだ。