繰り返しますが、最も「必要な情報」というのは、相場に影響を与えている情報です。相場に影響を与えている情報といわゆる「事実」は、実は合致しません。この辺のポイントを見極められるようになれば、勝てる投資家に近づいているといえるでしょう。

また、証券会社などでは、新聞を切り抜いてスクラップブックにすることを社員の義務にしているところが今でも多いです。証券の営業マンはそうやった方がいいと思いますが、普通の人はそこまでやる必要はないと思います。脳みそは大抵、いらないものを認識しませんから、情報を集められるだけ集めるなんていうバカげたことはやめていいです。それよりも、集めてどんどん捨てていく方法を学ぶほうが勝てる投資家になる確率が高まります。
ニュースを批判的に見聞きし、自分の言葉で「つまりこれは~」という風に、言葉を紡いでいくことができれば、さらに情報に対する理解は何倍にもなります。そう言う意味では、自分で選びぬいたニュースや素材をつなぎ合わせて、「物語」を作り、人に話す(アウトプットする)ことでそれが本当に使える情報になっていきます。


◎「センチメント」


また、相場に影響を与える情報というのは、実は感覚的なものだったりもします。相場では「センチメント」とか「相場心理」と言われています。そして、「今どんな材料が注目されているか」ということを専門用語で「市場の視点(投資家の視点)」と呼びます。

そもそもマーケットや金融市場は、真実を元に動いているわけではありません。市場参加者が勝手に作った噂が独り歩きしていることもあれば、なんとなく動いていることもあります。勝ち抜くための情報収集術とは、つまりは「世界にとっての事実」ではなく「市場にとっての事実」を選ぶということにほかなりません。

それに、マーケットは、「人の気持ちの全体像」を具現化したもの。市場、マーケットという言葉はある種の大人が使うとまるで魔法のような感じに聞こえて、とても知らない人が入れないような状態を作り出しますが、本来、マーケットというのは、人の気持ちの全体像を具現化したものです。だから美人投票と言われるように、皆がそう思うならそうだ、という感覚は非常に正しいです。市場と同調する意識を持つことができれば「何が今、もっとも重要なニュースなのか」を選び取ることができるはずです。

以上、収集した情報への向き合い方をお届けしました。
次回の記事では、これまでと少し視点を変えて「情報収集で失敗したら」という切り口で記事をお届けしたいと思います。

ZUUonline編集部

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