原油価格急落…チキンレース化した石油vsシェールのエネルギー戦争


原油価格 下落の始まり

昨年まで高騰していた原油価格。エネルギー源のほぼ全てを輸入に頼っている日本にとっては非常に厳しい状況だった。ところが、ニューヨーク原油先物を見ると2014年7月末に1バレルあたり100ドルを切り、テクニカルでは単純移動平均の25日と75日でデッドクロスをした頃からじりじりと下降、10月からは明らかに下落局面に入っている。


シェールオイル革命がもたらす原油生産の影響とは

原因は米国のシェールオイル革命による自国での原油生産の増加、中国をはじめとした世界全体の需要鈍化などだ。さらには、11月27日 OPEC ( 石油輸出国機構 )が、価格下落を食い止めるための減産をおこなわず、日量3000万バレルの生産目標を維持することを発表した。翌日の28日には2010年5月以来となる1バレルあたり70ドルを割り込み10%の急落となった。12月15日のニューヨーク原油市場ではおよそ5年7か月ぶりに1バレル=55ドル台に値下がりしている。

OPEC は現在12ヶ国が加盟し、全体で生産調整の上限を設けている。これまで原油価格が下落すると生産量を減らし価格の調整を行ってきた OPEC がなぜ今回、減産しなかったのか。この理由も米国のシェールオイル革命にある。減産すればその分原油のシェアが減ってしまうためだ。つまり、これまでの原油価格下落の背景には産油国のシェアの確保にあった。