化学品や医薬品を製造する日産化学工業(日産化) <4021> の高脂血症治療薬「リバロ」の特許権を巡る法廷紛争が拡大を続けている。昨年末以来、同社から高脂血症薬を巡る訴訟が連発されており、混沌とした状況に向かっているように見える。
同高脂血症の治療薬であるリバロ錠については、2013年に厚生労働省が一般用(ジェネリック)医薬品として日産化以外の製薬メーカーのリバロも健康保険の適用対象に定めてきた経緯がある。
製薬分野で薬価収載と呼ばれるこの認定を受ければ、患者が治療薬を処方される際に、医療保険から補助されるため実費負担は3割に留まることになる。そのため、医薬品の普及にあたり画期的とされる。
厚労省によるリバロの薬価収載を契機に、リバロを用いた一般用医薬品の製造・販売に持田製薬 <4534> 、日医工 <4541> 、日本ケミファ <4539> などの各社が参入していた。
日産化はこれに対して、結晶形の特許権侵害行為の差し止めを求める訴訟を各社に対して提起していた。同社の提訴については、医薬品の特許としてよくみられる有効成分についての特許である物質特許と、結晶の形についての特許である結晶形特許についてのものだ。
昨年末以来、同社が提訴してきた競合他社は持田製薬、日医工のほか、ダイト <4577> 、小林化工、Meiji Seika ファルマ、東和薬品 <4553> 、鶴原製薬、科研製薬 <4521> 、相模化成工業、寿製薬、沢井製薬 <4555> と数多い。さらに、2014年の12月26日にも、キョーリン製薬グループのキョーリンリメディオ、三和化学研究所が特許侵害をしているとして、同社が東京地方裁判所に提訴。およそ1年間で、13社に対する訴訟を提起した計算だ。
日産化は「今後も、「リバロ」に係る知的財産権の侵害行為や、侵害するおそれのある行為を確認し次第、法的措置を講じる」としており、さらに戦線を拡大させる可能性が高そうだ。同社と高脂血症治療薬で競合する製薬メーカーとの摩擦がまだまだ続きそうだ。
(ZUU online)
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