アベノミクスに始まり、アベノミクスへの「信任」で終わった2014年。来年の日本経済はどうなるのか、すでに各方面から様々な意見や予測が発表されている。2015年の日本経済の姿を、こうした経済関係者の声を通じて展望してみたい。
2015年の景気見通し…
懸念材料に浮上する「円安」
帝国データバンクが企業向けに行った2015年の景気見通し調査によると、景気の回復や拡大といった楽観的な見通しを持つ企業が激減しており、さらに円安に対する懸念や警戒感が増していることが浮き彫りになった。
同調査によると2015年の日本経済について景気が回復すると見ている企業は13.4%。前年の同調査では23.7%あったことと比べると、半減している。逆に悪化すると見ている企業は16.5%から26.8%に増加している。特に比較的規模が小さい企業の間で2015年の景気を悲観視していることも明らかになっている。
その悲観論の根拠として存在感を増しているのが、円安だ。アベノミクス第1の矢には行きすぎた円高の是正が含まれており、その意を汲んだ日銀の黒田総裁が『異次元の金融緩和(黒田総裁)』を発動し、半ば強引とも言える手法で円安誘導を行った。海外では『黒田バズーカ』とも呼ばれるほどインパクトの強い為替政策は功を奏したものの、今度は想定以上の円安局面を迎えており、さらに進行するのではないかという懸念が企業関係者の警戒感を煽っているようだ。
レコードチャイナ代表の経済ジャーナリスト、八牧浩行氏は「官製相場には脆さが付きまとっており、外的リスク要因を引き金に反転するリスクを秘めている」と述べており、アベノミクス相場もこれに該当するという見方を示している。アベノミクスによる円安誘導、株高は官製相場であり、そこに中国バブル崩壊などの外的要因が降りかかると一転して円高、株安のシナリオに逆戻りしてしまうというわけである。
2015年の日本経済…
底堅いシナリオを予測する声が大勢
アベノミクス相場の脆さや外的リスクの懸念はあるものの、2015年の日本経済は総じて底堅いというのが大勢の声だ。
東レ経営研究所がまとめたレポートによると、GDPの実質成長率は1.7%のプラスに転じると予測しており、消費増税による個人消費の冷え込みもこなした2015年は再増税延期、大規模な経済対策、原油安、円安が各方面への追い風となり、日本経済を下支えするという見通しを示している。
同レポートでも中国リスクや世界的な地政学リスクの増大をリスク要因に挙げており、2015年も中国経済の動向から影響を受けやすい構図が垣間見える。日本そのもののリスクとしてはアベノミクスの失速、財政赤字の増大に伴う経済政策への信任低下が『日本売り』を招くことを懸念材料としている。
こうした指摘は多くの声でも同様のものが見られるので、2015年の日本経済を見通すコンセンサスと言っても良いだろう。