スイスクラッシュでFX会社破綻続出 国内店頭FXでの取引も油断は禁物!

1月15日突然のスイス中銀による対ユーロ1.2を上限とする無制限介入を中止する旨の声明がでてから時間が経つにつれてその損害額が徐々に詳らかになり、まずはFX取引のフロントエンドに存在するFX証拠金取引業者が大きな損害を被っていることがわかってきた。そしてその一部は日本でも営業をおこなっているブランドとなっているのだ。


スイス中銀フラッシュクラッシュの翌日破綻を決めたアルパリ

このスイスフラン相場急変を受けて翌日に破綻を決めたのが欧州を中心としてFX証拠金取引を行っているアルパリである。破綻の規模については公式の発表がないがinsolvencyという言い回しで事態を説明しており、完全に支払い不能に陥っていることをうかがわせる内容である。

海外の証拠金取引業者の場合ゼロカットシステムと呼ばれる証拠金額のみで一切追証をもとめずにそれ以上の損失が出た場合には業者が損失をかぶる仕組みを相対契約で顧客と締結しているため、今回のような巨額な損失は業者自身がかぶることになり、一瞬にして支払い不能が確定したものと思われる。

これを受けて、国内では金融庁がアルパリの日本法人に対し資産が海外流出しないように国内保有命令を出している。国内でほぼ3000件あると言われる稼動口座は即日強制決済が適用されることになったが、証拠金は今のところ国内法人が破綻したわけではなく、信託保全も適用されているため、顧客に返還される見込みであり、日本法人でも出金に応じる旨ホームページで告知を行っているが、今後の状況が注目される。

当然のことながら国内ではアルパリでの取引は一切行えなくなり、強制決済も行われたため、含み損を抱えながら取引していたユーザーは一気に損失確定を強いられた格好だ。アルパリはロシアでの取引量が全社の取引額でも大きな会社であり、昨今のロシアルーブルの暴落でその関連での取引額も激減中の出来事だった。


IGグループも損失を関係当局に報告

日本でもIG証券がFXの店頭取引業者となっているIGグループはこのトラブルでほぼ3000万ポンド、日本円にして50億円程度の損失に直面していると関係当局に報告書を提出している。この原因は顧客に提供していた注文額が、同社のリクイディティプロバイダーより提供された価格よりもよい条件で執行されてしまったためIGグループ側にその差分の市場リスクが一気に生じることとことが原因とされている。リクイディティプロバイダーとは平たく言えばカバー先のインターバンクなどで、想像を絶するボラティリティが展開されていたことをうかがわせる。IG証券の日本法人からは特別業務に変調をきたすような発表はなされていないが、薄利で取引ボリュームだけに依存するのがこうした証拠金取引だけにその影響が懸念される状況である。