投信法の改正による投資家が受けるメリット

投信法の改正により、書面決議を要する併合手続きの見直し、受益者数要件の撤廃、反対受益者の受益権買取請求制度の見直しが行われた。これを受け、業務領域が重複する資産運用子会社を持つ金融機関では、投資信託約款の重大な内容の変更や投資信託の併合を行う場合に必要とされる受益者による書面決議が容易となり、資産運用子会社を自行に経営統合をしやすい環境が整った。

ファンドの統合が進めば投資家には、どのようなメリットがあるのだろうか。

現在の投資信託の銘柄数だけでも5,000本以上も存在している。一つひとつのファンドは米国等と比べ規模は大きなものではなく、積極的にリターンを得るために投資をするというのではなくいかにリスクを少なくするかという部分に目が行きやすかった。また、手数料や運用コストばかりかかり投資家へのリターンが少ないものであった。ファンドの統合が進み規模が大きくなれば、運用コストが下がり投資家が受けるメリットは大きくなる。

また、証券会社や銀行等は、投資家に対して利益が出たらすぐに売却を促す、いわゆる回転売買により手数料を得ることを主眼に置いていたところが多いが、今回の投信法の改正の背景にはこのようなビジネスモデルの変更を求めているということもあり、運用規模を拡大によりリターンを追うビジネスモデルに変更しないと生き残れないと考える資産運用会社も増えている。


グループ内組織再編に存在する課題

投信法の改正により資産運用会社の組織再編がすんなりいくかというとそうでもなさそうだ。

三菱UFJフィナンシャル・グループのように100%出資子会社の三菱UFJ投信と、出資比率が過半数を超える国際投信投資顧問を統合させるのは難しくない。みずほフィナンシャルグループや、三井住友フィナンシャルグループのように出資比率が過半数を超えていない場合は経営統合はすんなりといきそうになさそうだ。

今後、同一投資信託における複数の報酬体系を採用したり、外部委託に対する規制緩和が進んでいくことも検討されている。

投資家への利便性を高め、運用残高を増やしていくためにもまだまだ資産運用業界の再編は始まったばかりだ。

(ZUU online)

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