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1月25日のギリシャ議会選挙で第1党に躍り出た急進左派連動SYRIZAは、保守の小規模政党である独立ギリシャ人との連立により新政権を発足させることとなった。そして事前の予想通りEU、ECB、IMFによるトロイカとの交渉に関して早速独自のタフネゴシエーション路線を開始しはじめている。1月30日ギリシャのバルファキス財務相がトロイカの調査団に協力しない方針を明らかにし国際支援プログラムの延長を要請しないと明言している。


ロシアとの接点を持つチプラス新首相

2014年ウクライナ問題が浮上した際にフランスの中道左派雑誌であるヌーベル・オブセルトゥール誌はキプロス党首なNATOに反対で、ロシアのウクライナ併合に賛成であると報じている。

実際2014年5月、クリミア選挙が行われ、ロシア併合が決定されたとき、西側諸国では、このチプラス氏とフランスの極右FNのマリーヌ・ルベン氏だけがロシアを訪問し賛成の意を表明しているのだ。またフランスのル・フィガロ紙は選挙結果を受けて、新政府の新ロシアは今更驚くことではなく、SYRIZAは常にモスクワよりの立ち位置にあると報じている。

今回のトロイカとの交渉の背後にプーチンの姿が見え隠れすることになるかどうかは全くわからないし、そもそもロシア自体デフォルト寸前で他国に助け舟を出す余裕があるとは思えないが、なんらかの切り札にロシアが登場してくる可能性も残されている。


トロイカを憎むロシア国民

2012年の債務減免問題以降EU,ECB,IMFで構成されるトロイカはギリシャ政府に矢継ぎ早に条件提示を行い想像以上の厳しい緊縮財政を強いることとなった。結果ギリシャは大不況に陥り、年金と賃金カットに加え増税が始まり、あらゆる公的資金の枯渇で住民サービスは著しく低下、投資は激減して失業者は等比級数的に増大したため、ギリシャ国民は疲弊しきっている。

したがって、万が一チプラス首相がEU離脱を口にしても、元々トロイカに対して感情的な国民からの現象的支持が得られる可能性は高く、後先関係なく勢いでEU離脱という可能性も残されているのは紛れもない事実である。