大気汚染による経済成長鈍化、対中国投資のリスク
(写真=Thinkstock/Getty Images)

2015年、伊藤忠商事 <8001> は、タイの財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと共同で、中国の最大国有複合企業・中国中信集団(CITIC)の傘下企業に約1兆2,000億円を出資することを明らかにした。中国での生活消費関連分野などに共同でビジネス機会の創出を目指すとしている。日本企業による中国企業への投資案件としては過去最大規模となり、大きな話題となったが、その中国は、大気汚染をはじめとする環境問題の深刻化、経済成長の鈍化によって、投資には大きなリスクが潜在している。


成長率は7%台で推移、新常態に突入

2014年の中国の国内総生産(GDP)の伸び率は7前年比0.3%減の7.4%と、16年ぶりに政府の目標値(7.5%)を下回る結果となった。これまで「保八(パオパー)」、成長率8%を死守するスローガンの下、2000年-2011年まで12年連続で8%以上の成長率を記録してきた。世界経済を震撼させた2008年のリーマンショック時も、9%台の成長率で乗り切り、世界経済のけん引役となった。しかし、「保八」の時代は過ぎ去り、中国経済は、成長のスピードをゆるやかに減速させながら、構造改革を進める新常態(ニューノーマル)」に突入した。

経済成長の鈍化とともに、深刻なのが大気汚染をはじめとする環境問題だ。2014年11月、北京で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、晴れ渡った北京の空は「APECブルー」と揶揄された。中国政府は、会議の期間中、北京市を中心に交通規制、工場の操業を停止させて束の間の青空を演出した。北京市環境保護局によると、2014年同市の大気汚染について、有害な微小粒子状物質(PM2.5)の平均濃度は1平方メートル当たり85.9マイクログラム。2013年より数値は改善されたものの、国の基準である1平方メートル35マイクログラムの2倍以上。

時間帯によっては、この指数が危険な水準(301-500)となる400マイクログラムを超えることもある。こうした事態を受け、北京を含む大都市では、新車へのナンバープレートの取得に制限をかけたり、中心部の通行を規制したりするなどの対策に乗り出している。中国は世界一の新車販売台数を誇り、2014年は2,349万1,900台となったが、前年比6.9%増と2ケタの伸び率を割り込み、経済成長の鈍化や大気汚染の影響で、自動車販売の勢いにも陰りが見え始めている。