West Ham United v Arsenal - Premier League
(写真=Getty Images)

イングランド・プレミアリーグに所属するウェストハム・ユナイテッドの胸スポンサーだった、アルパリUKが破綻したことをご存じだろうか。アルパリ(アルパリジャパン)は2012年にJリーグのFC東京のスポンサーにもなった、外国為替証拠金取引(FX)会社の大手である。好調だったはずのアルパリUKが破綻に追い込まれた理由とは――。


スポンサー「アルパリUK」はなぜ破綻したのか

そのきっかけは、スイス国立銀行(中央銀行)が1月15日、対ユーロで行っていたスイスフラン相場の上限撤廃を表明した「スイスフラン・ショック」にある。政策金利をマイナス0.25%から0.75%へと引き下げ、さらにマイナス幅を拡大させたのだ。スイスフラン相場の上限は、2011年9月にスイス国立銀行がフラン高を抑えるために導入した通貨政策で、当時、欧州債務危機などから資金逃避先としてスイスフランが買われていたため、国内産業への影響回避を目的として無制限の為替介入を行っていた。しかしながら、債務不履行不安から国債が暴落したギリシャ危機やアメリカの景気拡大から、ユーロとスイスフランが米ドルに対し大幅に下落し、国内産業への脅威も後退したことから上限撤廃に至ったのだ。

このスイスフラン・ショック発表の直後、スイスフランの価値は大幅に上昇。対ユーロで一時41%上昇するなど歴史的な値動きで外国為替市場は大混乱となり、多くの金融機関に大規模な損失を与えた。そのなかでも、スイスフランを扱う外国為替証拠金取引業者のダメージは大きかった。外国為替証拠金取引は、顧客が証拠金を取引業者へ預けることで証拠金の数十倍の金額の取引が可能となる、ハイリスク・ハイリターンな金融商品である。

今回のスイスフラン・ショックで顧客が支払い不能となるほどの損失を出したことで、膨大な回収不能金が発生し、アルパリUKは経営破綻することとなったのである。


またもウェストハムを襲った悲劇

ウェストハムとアルパリは2013-2014シーズンから3年契約を結んでおり、今季はまだ2年目だった。胸スポンサーを失ったクラブだが、財政的な影響はないことを強調。しかし、共同オーナーのデービット・サリバン氏は、1億1,000万ポンドの借金を理由に、20%の持ち分を売却する意向を示すなど、不穏なニュースが続いている。

ウェストハムは、過去にはアイスランド人のグズムンドソン氏がオーナーであったが、アイスランド危機により、大株主であったランズバンキ銀行が破綻し、オーナー交代となっている。この手の話には何かと縁があるチームなのだ。オーナー側は明確に否定しているものの、ウェストハムの再びのオーナー交代も近いのかもしれない。

今季のウェストハムは、プレミアリーグ23節終了現在で8位と好位置につけているだけに、今回の出来事が戦績に水を差すことは避けたいところだろう。


金融危機は時にサッカークラブの運命をも左右する

このように、金融危機は時に、名門サッカークラブへも影響を与える。世界経済で今、混乱が起こっているのは、スイスフラン・ショックだけではない。昨年夏ごろまでは1バレル=100ドル以上だった原油価格は、現在40ドル台まで下落している。原油ショックで直接的な影響を受けるのは、潤沢なオイルマネーを背景に強豪クラブとなったチェルシーやマンチェスター・シティだ。このまま原油価格の下落が続けば、オーナーの資金力が低下し、移籍市場での影響力低下は必至だろう。

イングランド代表でも活躍したリオ・ファーディナンド、ジョー・コール、マイケル・キャリックやフランク・ランパードを育てビッグクラブへ売却したウェストハムのように、多くの中小クラブは有望な若手を発掘、育成し、ビッククラブへ移籍させることで移籍金を手にし、財政を健全化させてきた。

よって、ビッグクラブの資金力低下は間接的に中小クラブの財政悪化にも繋がっている。外国資本を取り込むことで輝きを取り戻したプレミアリーグだが、世界的な金融危機がクラブ経営に悪影響をおよぼす懸念も尽きない。今後の世界経済の動きとあわせて、プレミアリーグの各クラブ経営の行方にも注目である。

(ZUU online)

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