前回の記事 「融資型クラウドファンディング投資の他の投資商品にはない 5 大メリット」 では、融資型クラウドファンディング投資のメリットについて説明したが、投資である以上、当然、リスクもある。
そこで、今回の記事では、融資型クラウドファンディング投資に伴うリスクの 1 つであるデフォルト(貸倒れ)リスクについて述べる。
融資型クラウドファンディング投資におけるデフォルト(貸倒れ)リスクとは
デフォルト(貸倒れ)は、お金を貸す上で最大のリスクである。融資型クラウドファンディングにおいて、借り手である企業や個人が期日になってもお金を返さない場合、サービス会社は督促、担保の行使、債権のサービサー(債券回収会社)への売却といった手段で資金を回収する。
しかし、クラウドファンディングにおいては、サービス会社自身が返済を肩代わりすることはない。デフォルトのリスクは貸し手である投資家が全面的に負う。すなわち、もし貸倒れが発生すると、投資家は資金の一部あるいは全部を失うことになる。
各クラウドファンディングサービス会社のデフォルト発生率は、以下の表の通りである。
表 : 融資型クラウドファンディングサービスのデフォルト率実績 (金額ベース・ 2014 年 11 月現在)
会社
|
サービス
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貸倒れ率
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maneo
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事業向けローン
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0%
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AQUSH
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AQUSHマーケット
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0.68%
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不動産担保ローンファンド
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0%
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グローバルファンド
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0%
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SBI ソーシャルレンディング
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証券担保ローンファンド
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0%
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不動産担保ローン事業者ファンド
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0%
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オーダーメイド型ファンド
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0%
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クラウドバンク
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クラウドバンク
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0%
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一般的に銀行の法人向け融資の貸倒れ率は 2 %前後、住宅ローンでも 0.4 %、消費者金融では 5 ~ 10 %と言われているので、それらと比較して優秀な数字と言える。ただし、常に貸倒れに対する注意は必要である。
デフォルトリスクを低減するための3つのポイント
「融資」という形式である以上デフォルトリスクをゼロにすることはできないが、投資家として適切な対策をとることでリスクをある程度低減することはできる。デフォルトリスクを低減するための 3 つのポイントについて述べる。
(
1
)担保や保証付きの借り手・信用度の高い借り手を選ぶ
借り手(ファンド)によっては、不動産や売掛債権・有価証券などが担保として設定されているものや、借り手企業の代表者が連帯保証しているものもある。こうした借り手を選択すれば、万一の貸倒れ発生時にも資金が返ってくる可能性は高まる。
また、 AQUSH マーケットでは借り手に対して信用度に応じたグレードが付与されており、 maneo では借り手の過去の返済実績が公開されている。グレードの高い借り手や、完済実績のある借り手を選ぶことも安全性を高める対策である。
(
2
)投資対象を分散する
デフォルトリスクの対策として分散投資は非常に重要である。いくら利回りが高く好条件の貸出先があったとしても、全ての資金をそれに投じるのは絶対に避けるべきで、少なくとも 5 ~ 6 程度、できれば 10 以上に貸出先を分散したほうがよい。
AQUSH ・ SBI ソーシャルレンディング・クラウドバンクでは、投資対象は原則として複数の借り手から構成されるファンド形式ではあるが、それでもやはり複数のファンドに分散投資を行う方が安全だろう。
ちなみに私は、 maneo では 15 ~ 25 件、 AQUSH では 40 ファンド程、クラウドバンクでは 10 ファンド程の貸出先に分散投資している。
(
3
)貸出期間・返済方法にも注意する
融資型クラウドファンディングの返済方法には、「元利均等返済」と「元本一括返済」の 2 つがある。
元利均等返済とは月々元本と金利が返済される方式で、元本一括返済とは、金利は毎月支払われるが、元本は最後の返済月にまとめて返済される方式である。
貸出の原則として、「貸出期間が長いほどリスクは高い」「元利均等返済よりも元本一括返済の方がリスクは高い」と言える。
可能であれば、なるべく貸出期間が短く、元利均等返済の貸出先を選択する方が安全である。
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>>融資型クラウドファンディング専門ブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」
中田健介 サラリーマン投資家・投資ブロガー
IT 系企業に勤務する傍ら、 2010 年から「融資型クラウドファンディング」での資産運用を開始し、現在まで年平均 7 %以上の利益を上げる。「低金利時代の投資家にとって、融資型クラウドファンディングは最も優れたインカムゲイン投資である」と強く感じ、ブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設。 2015 年 3 月 10 日に著書「年利 7 %! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」を出版。
(ZUU online 編集部)
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