1月22日にECBが量的緩和を実施する旨を発表して以来、欧州の株式市場はこれを好感して大きな上昇を継続している。今後もユーロ圏の低金利が続くという予想から大手の不動産株などは軒並み上昇を続けている。

その中で通常の不動産会社とは別に、ドイツ・フランクフルト国際空港を保有・運営しているFraport( フラポート株式会社 )が株式市場で大きく注目されはじめている。空港施設管理会社は単なるビル管理だと思われがちだが、実は不動産業である。

この視点で国内市場を見回して見ると、日本でも日本空港ビルディング <9706> や空港施設 <8864 > といった同業態の会社の株価がアベノミクスのスタート時期以来大幅な値上がりを見せてきていることに気づく。

日本空港ビルディングは豪州ファンドの株買いで話題に

日本空港ビルディングは2007年秋ごろに豪州のファンド、マッコリーが同社への出資比率を上げたことから俄かに話題になった。当時は国策である空港事業に対して外資が投資することが焦点になってしまい、収益性の高さを判断する純粋な投資視点が抜け落ちてしまっていた。

マッコリーグループは空港や道路、鉄道などの公共インフラに投資を行う会社で、とりわけ空港投資ファンドはシドニーをはじめ、欧州の主要空港も次々に買収して大きな利益を獲得し続けている。早い時期から、こうしたビジネスが大きな利益をもたらすことをしっかり理解していたと言える。

日本では黒船が来襲して株式を取得すると大騒ぎになるのが慣例となっているが、実は日本空港ビルディングは外資のファンドが注目したように、単なるビル管理会社ではなく空港関連の不動産業なのだ。

しかもこの業態は空港施設に隣接する不動産業であり競争環境がほとんどない、いわば独占事業に近い状態であることから、事業利益率が高いのが特徴だ。もちろん空港の利用不振などが続けば、その影響をもろに受けてしまうリスクはあるが、空港不動産事業は各国ともに活況を呈している。

安定的に売上げと利益率を確保するところが大きな妙味

日本空港ビルディングは直近の過去5年で見ると、アベノミクススタート時の2012年には1000円程度の株価が6000円にまで跳ね上がる上昇株であり、実に6倍の上昇を示現するに至った超優良株といえる。

2012年度は東日本大震災の影響もあって利益率が急低下したが、それ以降は売上・収益ともに順調に増加。原油安による恩恵も受けやすいのが特徴のひとつだ。空港不動産ビジネスは、人の行き交いが激しくなるグローバル化した社会において大きく注目されるビジネスなのである。

円安による来日観光客の増加や2020年東京オリンピックにも期待

また、最近では安定的な円安が続いていることから、海外からの観光客数が急増している。これにともない空港施設ビジネスも大きな恩恵を得ている。さらに2020年の東京オリンピックに向けてのハブ空港化の整備、24時間営業などの新たな事業展開による妙味を受ける可能性も強くなってきた。

既にこの事業のうまみに気づいていた不動産関連物色主体の投資家はここ3年ほどで大きな利益を得ていたのではないかと想像できるが、今後も隠れたうまみのある不動産銘柄として注目される業態といえる。

豪州のファンドがいち早く投資に踏み切っただけのことはある。単なるビル管理事業を超えた妙味のあるビジネスだからこそ、日本空港ビルディングのような空港不動産業に期待することができるのだ。(ZUU online 編集部)