IoT
(写真=Thinkstock/Getty Images)


情報の「活用」から「収益化」へシフト参入各社の狙いは?

情報を商材として、そのまま収益につなげるビジネスに多くの企業が名乗りを上げている。各社ともさまざまな特徴を打ち出しているが、差別化のポイントは、集めたデータの分析であり、その分析において、何を重視し、収益につなげるかではないだろうか。

2016年の電気事業法改正による電力販売の自由化に合わせて、エネルギーを節約するためのシステムであるHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)への各種企業の参入が盛んだ。LIXIL、日立マクセル <6810> 、東芝ライテック、パナソニック <6752> らが続々とHEMS対応の機器を発売、または発売を予定している。

HEMS以外にも、データ収集と分析によるサービスは様々な分野に広がりをみせている。

帝人 <3401> では、睡眠の改善を支援するサービスを発表した。サービスの提供の他に、集めたデータを睡眠改善に冠する知見を得ることも目標の一つだ。

KDDI <9433> は医療機関へ出向くことなく、在宅で健康チェックができるサービスを発売する。専用の検査キットとWEBを用いたシステムを用い、なかなか健康診断を受けられない利用者に提供するものだ。KDDIはそのプラットフォーム開発を担当する。


モノより情報が儲かる時代に

これらのサービスは、端末や有料アプリなどによる収益を上げることを重視してはいないだろう。どの企業も狙っているのは情報なのである。

HEMSを提供する各社は、エネルギーの使用情報の収集を狙っている。エネルギーの使用情報の詳細を入手できれば、需要に合わせて柔軟に発送電設備を運用することができるからだ。電力事業はその性質上、安定して稼働できなければならない。

しかし近年、参入が相次いでいる再生エネルギーの発電設備利用率は低い。石炭火力発電の設備利用率が8割であるのに対し、風力は2割、太陽光は1割にとどまっている。

利用率が低い発電設備をもつ企業にとって、電力需要の詳細な情報を得ることは、安定して電力を供給し、収益を上げることに大いに役に立つ。

再生エネルギーによる発電設備への投資は比較的少ないとはいえ、無視できない額である。電力の使用情報を得ることは、設備投資の最適化にもつながり、電力販売業のコストにも反映されてくる。

帝人の睡眠改善支援サービスでも狙いは、睡眠に関するリアルな情報だろう。もし睡眠の改善に関して、有効なデータや法則を得ることができれば、そのインパクトは計り知れないものとなるだろう。

薬や特殊な設備を用いることなく睡眠を改善する方法が確立すれば、世界で3,000万人以上いるという不眠症患者と不眠治療関連市場の勢力を一変させる可能性すらある。

そのような結果を得るには、できるだけ多くの不眠のデータが必要だ。製薬メーカーが新薬開発に年間数百億円から数千億円の投資を行っていることを考えると、サービスを通して得られるデータは非常に魅力的なものに違いない。


情報のプラットフォームが持つ価値

KDDIの在宅の健康診断サービスは、情報そのものよりも情報のプラットフォームの方に軸足を置いていると考えられる。健康診断で得られるものは、非常に高いレベルの個人情報であり、簡単に商業利用できるものではない。

しかし、その情報をどのような形で扱い、どのような経路で通信し、蓄積し活用するかという「情報の基盤」の整備にいち早く着手し実績を詰むことで、事実上の標準となることができれば、大きなビジネスになる。

今後、通信技術の発展により今まで公共の場所や企業等で大勢を集めて行ってきたことが、どんどん自宅でもできるようになっていくだろう。そのような社会に必要となる重要な個人情報を扱うための情報のプラットフォームを握ることをKDDIは見据え、そのスタートとして健康診断サービスの提供を開始したのかもしれない。

IoTの爆発的な広がりが見込まれている今、事業が収益を上げるための手段は大きく変わり始めている。そして、その変化の中心は情報なのである。これまではモノ中心の社会を支える手段として、情報が活用されていたが、これからは情報を直接収益につなげるための競争が、どんどん激しくなるだろう。(ZUU online 編集部)

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