内閣府発表の2月機械受注統計によると、設備投資は低調ながらも改善しつつあることがわかる。今後は内需の本格回復による投資増が実現するかに注目が必要だ。


「緩やかな持ち直し」の流れ

機械受注額は、機械製造業者が企業から設備用機械を受注した金額を表す。通常は受注から半年程度で納入され、その時点で設備投資統計に反映されるため、これを見れば約半年後の設備投資動向が予測できる。

つまり、機械受注額が増えていれば、その後設備投資が拡大し、景気回復につながるということだ。

変動の大きい船舶・電力を除く民需が民間設備投資の先行指標となるが、その季節調整値が8356億円で、前月より0.4%減。昨年12月に8.3%増と伸びた反動で、1月の−1.7%に続き下落となった。それでもその幅は縮小しており、市場予測の−2.2%~−2.8%を上回るなど傾向は悪くない。

製造業からの受注は3552億円となり、+0.9%と微増ながらも2カ月ぶりにプラスに転換した。割合の大きい一般機械は-4.8%と減ったが、食品製造業で186.1%増、化学工業で25.1%増、情報通信機械で16.2%増、自動車・同付属品で14.1%増と、2ケタ以上の拡大でカバーし、全体の改良に貢献した。

船舶・電力を除く非製造業からの受注は4769億円で、-3.6%と4カ月ぶりに前月割れとなった。通信業では、通信機の大型案件受注があり、32.7%増と底堅く推移。だがトラクターなどの受注が減った農林漁業が49.7%減、鉄道車両の受注が落ち込んだ運輸業・郵便業が34.3%減、さらに金融業・保険業が14.1%減と不振で、全体の悪化を防げなかった。

このように非製造業の不調を製造業の好転で盛り返し、全体への悪影響を最小限にとどめた。内閣府もこの傾向をふまえ、「緩やかな持ち直しの動きがみられる」という基調判断を維持した。


主に政策と外需頼みの現状

設備投資は戻りつつあるが、自立的な景気回復を見越したものとはまだ言い難い。

昨年4月の消費増税以降、個人消費や住宅投資は低迷。2月まで実質消費支出は11か月、新設住宅着工戸数は12カ月前年割れが続く。そのため企業も積極投資は難しく、機械受注も5月以降前年比で増減を繰り返すなど不安定なままだ。

それでも、足元では消費や投資は緩やかに改善が見られる。前月比では8月以降、実質消費支出と新設住宅着工戸数ともにプラスの月が多い。また、増税の影響緩和に向けた公共工事の前倒しで、公共機関からの建設工事受注額は4月以降増大する月が顕著だった。さらに、金融緩和による円安と堅調な米景気に支えられ、輸出も9月以降伸長を持続。これらにより、機械受注も6月以降増えた月が目立っている。

つまり、内需回復の兆しに加え経済政策と外需に依拠し、将来を見越した投資を行う動きが続いてきたといえよう。


内需拡大による望ましい投資増になるか

今後も設備投資が伸びていくかは、内需が本格回復するかがカギになる。

日本政策金融公庫の中小企業景況調査によると、設備判断DIは3月まで過剰超過から抜け出せておらず、投資意欲は不十分だ。

それでも、徐々に増税の影響から脱却しそうな兆候も見られる。

消費動向調査の消費者態度指数、景気ウォッチャー調査の先行き判断DI(家計及び企業動向関連)ともに、昨年末から概ね伸長を継続しており、家計と企業の景況感に光明が見えつつある。公庫より調査範囲の広い日銀短観によると、生産・営業用設備DI(全規模・全産業)は、今年第1四半期で不足超過になり、第2四半期もより不足する予測であり、これらを考慮すると、設備投資も徐々に戻るのではないか。

内閣府も第1四半期の機械受注を前期比1.5%増と見通すが、こうした家計や企業の見方が本物なら、予測通りになる可能性はある。

機械受注の動向をみることで、設備投資、さらには景気の先行きをつかむ手がかりになるため、継続して注目が必要だ。(ZUU online 編集部)

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