外債
(写真=Thinkstock/Getty Images)

外国債券の売却ラッシュがおこっている。為替が円安に振れたことから、外国債券の含み益が出ていることも一因だが、それだけではない。2016年から施行される金融商品に関する税制改正が、投資家に外債の売却を促しているようだ。


複雑な金融税制

金融商品に関する税金として、一般的に馴染みがあるのは預貯金や上場株式、投資信託に関する税金だろう。預貯金の利子は利子所得として課税される。国内上場株式の売却益は譲渡所得として課税され、配当金は配当所得として課税される。

一方、債券については国内債券の売却益、外国債券(利付債)の売却益については現行税制では非課税となっている。それぞれの債券の償還差益は雑所得として課税されるが、売却益は非課税となっている点がポイントだ。

勘のいい人ならお気づきだろう。債券を満期償還まで保有すれば課税される。しかし、償還を待たずに売却すれば、その売却益は非課税なのだ。

税制改正で売却益も課税対象に 16年から施行される税制改正が問題を複雑にしている。これまで原則非課税だった公社債等の譲渡益に対して所得税15.315%、住民税5%の計20.315%が課税されることになるが、単純に課税が強化されるだけではない。

上場株式等との損益通算が可能となるほか、譲渡損失の3年間の繰越控除が可能となるのだ。投資家は保有している債券を売却するか、それとも来年以降に持ち越すか、選択を迫られている。どちらが得かは一概には言えない。

投資家の多くは、債券は満期償還までずっと保有し続けるものだと思い込んできた。しかし、実際には債券は償還前であっても売買可能だ。満期償還前に売買する個人投資家が少なかったからこそ、非課税という税制の盲点がこれまで放置されていたのだろう。

皮肉にも税制改正によって、この税制の盲点を知らしめることとなった。「非課税のうちに売ってしまえ」、多くの投資家がそう考えるのは当然だ。折しも、円安の恩恵で外国債券を保有している投資家の多くは含み益を抱えている。

年内に債券を売却すれば非課税だ。多くの投資家が売却を急ぐのは当然だ。年内に満期償還を迎える債券を保有している投資家ならば、満期償還を待たずに売却を選択するはずだ。満期まで保有すれば償還差益は雑所得として課税されるが、償還直前に売却すれば非課税だからだ。


売るか、保有しておくか、悩ましい選択

しかし、年内に債券を売却するか、来年以降に持ち越すかの判断は実はとても難しい。投資家一人ひとりによって事情が異なるのだ。単純に課税が強化されるだけではなく、上場株式などとの損益通算が可能となるからだ。さらに、譲渡損失を3年間繰り越すことができる。

米ドル建ての債券を保有している投資家の多くは含み益を抱えているが、ブラジルレアルやトルコリラなど新興国通貨で運用している投資家の中には含み損を抱えている人も多い。

現行税制では認められていないが、税制改正により含み益がある上場株式と含み損のある外国債券は税制改正によって損益通算が可能になる。片方の利益を圧縮することができれば節税も可能だ。

このように、債券に関する税制は複雑で単純に非課税である年内に売却する方が得と言い切ることはできない。しかし、これを機に「売却するかどうか」を検討してみる価値はあるのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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