中国
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ここ最近、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の報道を目にする機会が際立って増えてきた。

AIIBのめざす全体像とは、経済発展の著しい中国が主導し、従来の欧米日による国際金融の枠組みとは別の新たな国際的金融システムを構築することである。

それと同時に、東南アジアからヨーロッパ西側地域へとユーラシア大陸を横断し、南太平洋海域まで至る広大な地域へインフラ投資を促進していくという、壮大な国際プロジェクト・ファイナンスの確立をめざしている。


AIIBは「新シルクロード構想」

この構想は、中国の報道では古代シルクロードの歴史になぞらえ『一帯一路構想』と呼ばれている。一帯一路とは、2013年に中国の国家主席である習近平が打ち出した構想で、正式名称『シルクロード経済帯及び21世紀海上シルクロード』(丝绸之路经济帯及”21世纪海上丝绸之路”)とされ、日本では『新シルクロード構想』と呼ばれることが多い。

この構想には、最近中国とフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイが領有権問題で争っている南シナ海も含まれている。4月15日、中国財務省は公式ホームページで、AIIBに新たに南アフリカやイスラエルなどが加わり、創始メンバー国が57ヶ国となったと発表した。本来シルクロードとは関係がないアフリカも構想に含まれるなど、今後も膨張を見せる可能性を示唆している。


日本は創始メンバーへの参加見送り

AIIBの創始メンバーは、『新シルクロード構想』によって自国の経済へのプラス効果が期待される。日本でも新たなビジネス機会への参加という期待感や、日本と中国との外交関係の観点から、当初は創始メンバーへの参加を見送ったことへの判断是非をめぐった報道がなされた。

複数の国家領域をまたぎ大陸横断するエリア規模と、その周辺海域を含めた領域をひとつの経済圏としてとらえた投資促進プロジェクト構想はこれまで類をみない試みであり、また、それらを資金面からバックアップする国際金融機関の創設は「現実的か、非現実的か」の議論を超えた壮大な視点をもったプロジェクトとして位置づけられる。

しかしその一方で、AIIBの発足によって新たに引き起こされる懸念として、インフラ投資国家と被投資国家の国家安全の問題が挙げられる。