4日から6日の東京株式市場は、ゴールデンウィークのため休場。その間の海外市場は、IMFがギリシャへの支援打ち止めを示唆したとの報道や、米国の貿易赤字増加、米4月ADP雇用統計の悪化などを理由にダウ平均株価は下落した。

その他、イエレンFRB議長が足元の米国株式市場について、「一般的に言うと、とても割高だ」と述べるなど、株式市場にとってネガティブに捉えられる要因が多くあった。

7日の東京株式市場は、連休中の海外株安に加え、イエレンFRB議長の発言を嫌気した売りから、大幅に下落した。また、8日の株価指数先物オプションン等の特別清算指数(SQ)算出に絡む売買も重なったことで売りが加速した。日経平均株価は前週末比239円64銭安の1万9291円99銭で大引けとなった。

8日の東京株式市場は、前日に米新規失業保険申請件数が市場予想を上回ったことなどを背景に米国株が上昇したことで、日本株も上昇した。

もっとも、SQ算出に伴う売りや、米雇用統計を夜間に控えていることから、積極的に買い上がる動きは限定的で、日経平均株価は、前日比87円20銭高の1万9379円19銭で週の取引を終えた。

また、個別銘柄では、任天堂 <7974> が16年3月期の連結業績予想で営業利益2倍とし、「ユニバーサルスタジオ」を運営する、ユニバーサルパーク&リゾーツとの業務提携が発表されたことなどから上昇した。


今週の株式展望

今週の株式市場はどうなるだろうか。イエレンFRB議長の「I would highlight that equity market valuations at this point generally are quite high」(株価は割高)という発言にあった、「バリュエーション」とは、投資の価値計算などのことを指し、具体的には、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などのことと考えられる。

確かに、20倍を超えると割高と言われるPERにおいて、ダウ平均株価は超えていないものの、ナスダック総合指数においては、22倍(予想PER)近くとなっているため、この発言も頷ける。

なお、TOPIXの予想PERは4月下旬に19倍台後半まで上昇後、現在は18倍台まで落ち着いており、やはり20倍以上まで買い進める動きは考えにくい。これらを考えれば、米国株が調整することで日本株へも影響を与え、上値が重たい展開が想定される。

今週注目される経済指標は、13日発表の3月国際収支、米4月小売売上高、15日の米4月鉱工業生産・設備稼働率などである。また、11日のユーロ圏財務相会合における要人発言にも注意が必要だ。

企業決算予定は下記の通りである。

11日
大成建設 <1801> 、三越伊勢丹 <3099> 、アステラス薬 <4503> 、ブリヂストン <5108> 、スズキ <7269> 、三井不動産 <8801> 、ソフトバンク <9984> など。

12日
鹿島 <1812> 、明治HD <2269> 、住友化学 <4005> 、KDDI <9433> など。

13日
大林組 <1802> 、清水建 <1803> 、日産自 <7201> 、三井住友 <8316> など。

14日
電通 <4324> 、日立 <6501> 、第一三共 <4568> など。

15日
武田 <4502> 、三菱UFJ <8306> 、みずほFG <8411> 、第一生命 <8750> 、NTT <9432> など。

また、テクニカル面では、週足ベースのボリンジャーバンドは、日経平均株価のローソク足が1σを下回る水準で、週足14週のRSIにおいても、60%台前半と過熱感はなくなった。

以上から考えれば、テクニカルにおいては割高でないものの、企業決算のピークは過ぎ、業績面でのサプライズも考えにくいことから、引き続き調整局面が続くと見て良いだろう。(ZUU online 編集部)

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