4月17日、内閣府は、2015年3月の「消費動向調査」を公表した。消費者の生活に関する意識を示す一般世帯の「消費者態度指数」は、4カ月連続で前月を上回り、前月比0.8ポイント上昇の41.7ポイントとなった。

それを受けて、内閣府は消費者マインドを「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正した。


消費者マインドは「持ち直し」

消費者動向指数を構成する消費者意識指数は、①暮らし向き、②収入の増え方、③雇用環境、④耐久消費財の買い時判断、の4つで構成されている。

①暮らし向きについては、3月は38.8で前月比0.4ポイント、②収入の増え方は39.4で前月比0.6ポイント、③雇用環境は47.8で前月比1.3ポイント、④耐久消費財は40.6ポイントで前月比0.8ポイントと、いずれの項目でも前月比増となっている。

また、1年後の物価に関する一般世帯の消費者の見通しについては、「上昇する」が2カ月ぶりに増加。原油安の影響により物価が下落するとの見方もあるが、全体では9割に近い人が物価は上昇するとみている。しかも、「上昇する」とみる人の中で、5%以上、上昇とする人は26.5%で、前月比0.8ポイント上昇となった。


各指標でも消費動向は改善

なお、4月の月例経済報告では、「景気は、企業部門に改善がみられるなど、緩やかな回復基調が続いている。」と前月と同様で判断を据え置いている。しかし、国内企業物価については、「このところ下落テンポが鈍化している。」から「このところ横ばいとなっている。」と変更されており、若干ながら改善の兆しが見える。

西村内閣府副大臣は20日、月例経済報告関係閣僚会議後の会見で、個人消費の先行きについて、賃上げの動きが中小企業まで広がっていることや、原油価格下落の恩恵が広がっていくことが期待できること、雇用者報酬でみると実質賃金もプラスが期待されることなどを挙げ、「消費は堅調に推移すると期待する」と述べている。

このような消費動向の改善は、春闘による賃上げによる後押しもあったといえる。日本労働組合総連合会(連合)が4月2日に公表したデータによると、ベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ額(平均賃金方式)の加重平均は前年同期比449円増の6,944円となった。また、パートやアルバイトなどの非正規労働者の時給は、平均18.17円増の927.65円。月給では加重平均で1,046円増の4,237円となった。


実質消費は改善どころか悪化?

しかし、総務省が5月1日に公表した「家計調査」3月分速報によると、2人以上の世帯1世帯当たりの実質消費支出は、前年同月比10.6%減となり、2001年以降では最大の下げ幅となった。

東日本大震災が起きた2011年3月が8.2%の減少なので、今回の下落がいかに大きいかがわかる。会社員など勤労者世帯の実収入は、1世帯あたり44万9243円で、前年同月比0.3%減。18カ月連続のマイナスで、労働者まで収益が還元されていない実態が伺われる。

賃上げなどによって、消費マインドは改善の兆しが見えるが、実態を見てみると、消費増税の反動減と円安による値上げにより、消費が依然として落ち込んでおり、実質収入も増えるどころか減少しているため、ますます消費にまわらないという悪循環がみえる。

例えていうなら、運動会で、お父さんが気持ちだけ前で体がついてこないため、コーナーで転倒するような状態だろうか。

消費を改善するためには、企業は内部留保を増やしたり、自社株を買い集めたりするのではなく、労働者等に利益を配分していくべきであるが、なかなか実態改善がみられない。デフレマインドの解消が難しいのは、個人よりむしろ企業の方なのかもしれない。(ZUU online 編集部)

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