テレワーク
(写真=Thinkstock/Getty Images)

東日本大震災以降、BCM/BCP(事業継続管理/事業継続計画)という視点でホームオフィスやテレワーカーに注目する企業が増えたが、実は、生産性の向上という視点でもこうした働き方に期待が集まっている。単なるリスクマネジメントではなく、新しい働き方としてのテレワークが注目される時代が来ているのだ。


そもそもテレワーカーとは?

テレワーカーのテレ(Tele)は「離れて」や「遠く」という意味で、「ICT(情報通信技術)を活用して場所や時間にとらわれずに、柔軟な働き方をする人」と、基本的には、近年では理解されている。また、テレワークには、大きく分けて、会社に勤務しながら雇用先の決めたルールにのっとった時間と場所で柔軟に働く、いわゆる『雇用型』と、個人が起業、あるいは請負など独立して仕事を行う『自営型』の2種類があるとされている。


アベノミクス『第3の矢』にも明記されたフレキシブルな働き方

このテレワークという労働形態は、実はアベノミクスの『第3の矢』にあたる成長戦略にも明記されている。あまり知られてはいないが、新IT戦略である『世界最先端IT国家創造宣言』において、「2020までにテレワーク導入企業を2012年度比で3倍にするとともに、週1日以上終日在宅で就業する雇用型テレワーカー数を全労働者数の10%以上にする」という目標も設定されている。

しかし、テレワークの普及はというと、まだまだ広がりにかけるものだ。国土交通省が実施した『平成25年度テレワーク人口実態調査』では、在宅型のテレワーカー(ICTを利用できる自宅兼事務所を除く自宅で、仕事を週1分以上行っている人)率は11.1パーセントで、前年比3.1ポイント減。テレワーカーとして働く人々の数は720万人となっている。ここ数年で急激に増加したことは間違いないが、社会に定着した大きな動きであるとは言い難く、「世の中の働き方を変える」ところまではまだまだ達していない。


女性の就業拡大や地方創生でも期待されるテレワーク

こうしたテレワークという労働形態は、女性の就業機会の増大という視点でも期待されている。2014年10月より育児休業給付金の制度が変更となり、月に80時間以下の勤務形態であれば育児休業給付金を受け取ることができるようになったため、産後の女性でもテレワークという方法を使って積極的に労働参加することが可能になったのだ。高齢化の進む今後の日本社会における介護と仕事の両立という視点からも、テレワークがソリューション(解決策)となることが期待されている。

もう一つ、テレワークの活用が期待されているのは、地方での活用だ。最近では、政策の目玉の一つとしても、地方創生がしきりに語られ、地方に移転する一部の企業も出てきているという。ただ、本社の所在地を移転させて税収だけをシフトしても雇用の拡大にはつながらない。地方の活性化という観点から見れば、むしろ、通勤に時間を消費したり、居住エリアに制限が課せられたりといった問題を解消できるテレワークを採用し、地方で勤務する人を増やすほうが魅力的だ。地方に住みながら、在宅で働くチャンスを拡大することにもなり得ることから、地方活性化を実現する方法の一つとして、積極的に利用することも検討され始めている。


課題は「チーム」での生産性向上

テレワーカーの場合、個人が担当する業務のみ行うのであれば比較的容易に生産性を維持することができるが、プロジェクト型の協業で生産性を維持できるかが課題となる。電話やインターネットを活用したリモートのビジネス環境で果たしてどうすれば、対面型のリアルなビジネス環境と同じ効率性を維持できるのかということだ。そのためには、高度なクラウドコンピューティングをも積極的に取り入れたファシリティ(設備)の提供が必要となるとともに、ICTを通した機微なコミュニケーションを展開するためのセキュリティ対策も必須のものとなる。

わが国では、先進国の中でも他に類を見ないほどのスピードで人口減少と高齢化が進んでおり、本格的な生産労働人口の減少が見込まれる状況下だからこそ、テレワーカーのようなICTを最大限に利用したワークスタイルでの働き方を許容することで、労働参加率を下げない方法をしっかり実現させることが大切だろう。

そうしたテレワークの普及が、日本経済を活性化、効率化させるドライバー(推進力)となるのは間違いなく、官民を挙げてこの取り組みを推進していくことが望まれる。まずは、大手企業を中心に定型化されたテレワークのスキームを積極的に導入して、続いて中小企業にも拡大させていくことが大いに期待される。(ZUU online 編集部)

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