去る2月6日、国内総合商社5社の2014年4-12月期連結決算が出揃った。各社とも9月決算までは順調と思われたが、結果的には合計4400億円の減損損失を計上。なんと5社中4社が最終減益、赤字転落となった。通期見通しではシェールガスで大きな痛手となった住商と丸紅以外はなんとか赤字は免れたが、資源以外の事業収益の差が決算に大きく影響を与える結果となった。

赤字に転落した住友商事は2015年3月期決算で2400億円の巨額損失計上を決めており、丸紅も同様に1700億円の損失、税引き後で1200億円の減損損失を計上する。こうした各社の業績差はいったいどこから生じたのか? その原因を探ってみると、各社微妙な事業戦略の違いが浮き彫りになってくる。


資源ビジネス拡大策が完全に裏目に出た住商と丸紅

2012年3月期決算時、その頃の総合商社は好決算に沸いていた。とくに海外での資源権益をもつ三菱商事や三井物産は、過去に積極投資を行った鉄鉱石や石炭の利益が大きく拡大し、最高益を更新するほどの好業績となった。

たとえば三井物産は資源ビジネス依存率がもともと高く、逆にいえば非資源分野での投資効率は低い会社だった。そして当時は、この特徴が最高収益という好決算を導き出した。

一方で、住商、丸紅は、三井物産と比較して資源ビジネスの比率が低かったため、この時期、積極的にシェールガスなど資源分野への投資に動いて巻き返しを図ろうとした。その結果が、今回の巨額損失計上という地雷になったといえる。

そもそも資源を持たない日本では、石油事業は利権として確保すれば非常に魅力的な事業となる。これまで幾度となく石油ショックを経験してきている国内商社にとっては、シェールガス開発への投資は資源ビジネスの大きなチャンスと映った。その結果がシェールガスの高値掴みという事態を招いたのだ。

実際、住商が大損を出したテキサス州パーミアンのタイトオイル開発事業への投資時期は、同社の説明によるとまさに2012年であり、もっとも原油の高い時期であったことがわかる。