三菱商事と伊藤忠は増益予想を据え置き

そんななか、三菱商事と伊藤忠は非資源分野のビジネスが利益を下支えし、原油価格の下落に直面したにもかかわらず、増益予想を据え置いたことで注目されている。

三菱商事は、畜産をはじめとする生活産業やファンド事業の拡大が利益に寄与した。また伊藤忠は、IPP/独立系発電事業者や米国での自動車販売、情報関連ビジネスでの収益が拡大している。つまり資源ビジネスだけに依存しないポートフォーリオ型マネジメントが功を奏していることがわかる。


シェールガス損失案件の火種はまだこれからという見方も

総合商社の場合、損失は一括計上することが多いが、シェールガス開発については、住商、丸紅以外の各社の損失がすべてあぶり出されたわけではないとする業界アナリストの分析もある。とくに資源ビジネスの老舗である三井物産は米国イーグルフォードに3000億を超える投資を行っており、三菱商事もカナダで2010年からシェールガス投資を行っている。このため両社とも住友商事と同様の損失を抱えることになる可能性は高い。原油高の2010年~12年の時期にシェール開発さえ取ってくれば勝ちというゲームはすでに終わった。今年は、さらなる敗戦処理を強いられる商社が現れても不思議ではない。


生き残りの鍵は安定的なポートフォリオビジネス

新会計基準IFRSの適用で、代理店的な売り上げ計上をしてきた商社のビジネスは今後売り上げにカウントされなくなる。このため投資を行った事業を主体とするビジネスが、商社にもますます求められる。さらに単なる投資だけにとどまらず、プロジェクトをしっかり進行管理していく能力や目利き感といったものも、今後一層求められることになりそうだ。こうした業態に変化できない総合商社は、当然淘汰の嵐に巻き込まれることになるだろう。

(ZUU online 編集部)

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