アベノミクスとは、「三本の矢」の政策により企業を刺激し、企業活動の回復の力を使って構造的な内需低迷とデフレからの完全脱却を目指すものである。
企業のデレバレッジや弱いリスクテイク力の恒常化が、内需低迷やデフレの長期化の原因になっていると考えられるからだ。
アベノミクスの第一の矢である「大胆な金融政策」は、円安を導き出し、株式市場の上昇などにより成長期待とインフレ期待を高めるとともに企業心理を改善させる。
アベノミクスの第二の矢である「機動的な財政政策」は、需要を追加しデフレギャップ(需給ギャップ、需要不足)を縮小するとともに、ネットの国内資金需要も追加し、日銀の金融政策により供給された資金がより市中に回りやすい環境を作り出す。
正直なところ、第一の矢に比べ、第二の矢は不十分であったと思われるが、震災からの復興の需要と財政支出が第二の矢を補強していると考えられる。
そしてアベノミクスの第三の矢である「新たな成長戦略」は、第一の矢と第二の矢で整えた企業活動の回復の環境・期待を、新たな投資機会を提供することなどにより、実際の行動へ変えることを目指す。
デフレで景気が悪いから、企業活動が弱いのか、企業活動が弱いからデフレなのか、因果関係は明確ではない。
黒田日銀総裁は2013年12月25日の日本経済団体連合会審議員会の「デフレ脱却の目指すもの」と題した講演において、デフレと景気低迷の因果関係を「デフレは景気低迷の結果であるとともに景気低迷の長期化をもたらす原因となった」と説明している。
企業活動についても同じことが言える。企業活動の低迷はデフレの結果であるとともに、デフレの長期化をもたらす原因となったと考えられる。
企業活動の回復によりデフレ完全脱却を目指すアベノミクスの戦略に間違いはないだろう。
会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト
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