食べ物だけではなく住宅も安くはない。外国人が快適に暮らせるマンションや一軒家は限られている。その上、経済成長にともない、ガーナで働く外国人数は増えている。住宅建設も進んでいるが、賃貸住宅を希望する外国人の需要に供給がまだ追いついていない。そのうえ、建築コストも安くはない。
筆者と同じビジネススクール出身のオランダ人ビジネスマンは、ガーナの一等地に幾つも不動産物件を保有しているが、建築資材をすべてオランダから直接持込んでいる。ガーナ国内では彼のお眼鏡にかなう資材が調達できないのだそうだ。ときには、人材も持ち込む。もちろん同じ物件をオランダ国内で建設するよりも高額になる。アクラの一等地では、億ションも稀ではない。
(写真=筆者撮影)現地の高級マンションの内装
したがって、ジェネレーターや水のタンクを完備し、 警備も行き届い たマンションとなると、家賃は1ヶ月あたり2000~5000ドルを超える。これがアクラではなく、タコラディなどの原油生産地ではさらに如実だ。2011年に原油の商業生産が始まると、これまで外国人居住者などいなかったこの町に、外国人が急激に流れ込むようになった。
しかし、彼らが心地よく暮らせるような住宅がない。供給が少なく需要が高いためタコラディでの家賃はとても高い。 5ベッドルーム、プール付き、家賃6500ドルのリノベート物件が、工事完了前に賃貸契約されていた。
「価格は需要と供給で決まる」そんな経済学の基本を肌で実感するのも、アフリカの生活だ。
外国人駐在員だけではなく、一般のガーナ人にとっても、ガーナの生活費は高い。特に住民の頭をもっとも悩ませるのが、急上昇する住宅費だ。土地の高騰により、アクラの郊外開発がどんどん進んでおり、同時に渋滞による交通事情が急速に悪化している。渋滞なしでは10分の距離に1時間かかることもある。