不動産投資で知っておきたい「リスク・リターン」の考え方
収益物件の広告の中に、「高利回り物件」と書かれているものを見かける。高利回りであることを全面に押し出している物件だ。確かに高利回りというのは投資回収も早く、儲かりそうなので魅力的だ。
しかしながら、「実際の利回り」と「投資家として要求すべき利回り」というのは異なる。ハイリスク・ハイリターンという言葉があるように、ハイリターンの物件はハイリスクを取っていることを認識しなければならない。
仮に収益物件の広告に「ハイリスク物件」と書かれていたら、購入しようと思うだろうか。そこで収益物件のリスクとリターンの関係について、改めて見直してみたい。
利回りとは?
不動産鑑定士が、不動産の適正価格を求める際に用いる基準として使うものに、不動産鑑定評価基準がある。不動産鑑定評価基準の中には、収益物件の価格の求め方も記載されており、鑑定評価の中で用いる還元利回りや割引率といったいわゆる利回りについても定義されている。
その中で利回りは、「将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含むもの」と書かれている。不確実性とは何か、つまり不動産のリスクプレミアムのことである。不動産鑑定評価の考え方としては、将来にわたって当該不動産が収益を生む確実性が怪しくなるほど、リスクプレミアムが高くなる。つまりリスクプレミアムが高いほど、ハイリスクの物件となり、見た目上は高利回りの物件となるのだ。