フェノックス

(写真=ZUU online 編集部)

IoT、ビッグデータやロボティクスなどの、高度な技術の開発を必要とする分野。優れた技術の取得や、自社の技術的な優位を守るためのM&Aでも、熾烈な競争が繰り広げられている様子だ。

その実態を紹介するのは、米・シリコンバレーに本社を持つベンチャーキャピタル(VC)のフェノックスベンチャーキャピタルの共同代表パートナー兼CEOのアニス・ウッザマン氏で、日系企業もこうした技術開発に何らかの形で関わらなければならないと語る。

同氏は6月19日、ブルームバーグと共同で開催したセミナーで、米国や英国をはじめとした世界の事例を交えながら、最新の技術やその開発企業について紹介。ITを中心に、ベンチャービジネスや新たな技術の発信地で活躍する人物の言葉だけに、重みもありそうだ。

セミナーの講演で指摘されたのは主に、IoTを支えるデバイスやビッグデータの実現に向けて注目のベンチャー企業や技術。その一つとして紹介されたのが、スマートシングズ(SmartThings)で韓国・サムスンに買収された会社だという。同社が提供しているのは、IoTの端末となる、センサーの埋め込まれた機器とスマホをつなげるためのハブとなる機器を開発しているのだ。

同氏は「朝起きたときに、携帯でスケジュールを確認できる。海外との電話ミーティングがあれば、これは携帯電話で確認できます」。さらに、「コーヒーマシーンが、IoTでネットにつながり、携帯につながれば、コーヒーを淹れさせることもできる」などと解説した。

IoTについては、米国でも注目企業として、手首などに装着して運動データを収集するデバイスを開発・販売するフィットビットがナスダック市場に18日(米国時間)に上場。人体のデータを集めて健康管理に生かすといった用途での活用や、健康管理アドバイスサービスを支援する可能性があるといったヘルスケアサービスの視点でも無視できそうにない。

ほかにも、ヘルスケア分野でのIT活用について、米国ではIBMが開発した認知科学の粋を生かした人工知能(AI)「ワトソン」を活用して、癌の治療法を研究したり、患者からの診療を自動で行ったりもしているとのこと。ほかにも、「モリー」と名付けた仮想人格が遠隔医療で患者を診断したり、モリーでは対応しきれない場合には、医師本人を呼び出したりする技術も開発中とのことで、医療・健康分野でのIT活用が広まりそうだ。

また、IBMのワトソンは、AIの新たな活用分野として注目されており、銀行のコールセンターでの顧客対応を、人間の代わりに行うなどの事例もある。日本国内でも、同AIの活用は進んでおり、三井住友銀行がコールセンターに導入し、一部の顧客対応を人工知能が行う体制を整えており、世界中での展開が想定されている。

併せて、ウッザマン氏は18日のセミナーで、世界の名だたるIT企業、具体的にはグーグルやIBMも技術を取得するために積極的な投資、合併買収を推進していることを紹介。IBMが2年で200社の企業を買収していることや、グーグルがITベンチャーの立ち上げ期に積極的に投資して、後に買収するといった戦略で技術力を高めているなどと、ライバルの動向についても紹介した。(ZUU online 編集部)

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