いわゆる大衆層となるこのセクターの所得は、例えばアクラで働く庭師の場合、1日900円ぐらいが相場となる。天候にも左右され、毎日、必ず仕事があるわけでもないので、月収は、1万円台前半といったところか。やり手になると、個人宅と契約して安定収益を得たり、1日に2軒掛け持ちをしたり、月収2万円を超えることもあるだろう。

こういう庶民の足になるのが「トロトロ」と呼ばれる乗り合いバンだ。 乗客が揃ってから発車するため、スケジュール表なんてものは最初からないし、どこに止まるどのトロトロがどこに向かうか、体系だってわかるようなシステムはなく、人づてに聞いていくしかない。

鉄道は首都アクラと港町テマを繋ぐ列車が1日に朝、夕一回ずつ走るだけで、移動手段としては確立されていない。また、タクシーは、メーター制ではなく、ちょっとした短距離でも初乗り150円以上はかかる。

ガーナに降り立った外国人の目を最初にひく独特の光景といえば、頭にモノを載せて歩く売り子の姿だろう。インフォーマルセクターの代表的な働き手といってもいいかもしれない。渋滞が酷いガーナでは、幹線道路沿いには、色々な物売りがやってきて、つま楊枝、ティッシュペーパーなどの日用品から、子供のおもちゃ、果物、軽食、飲み物、新聞まで買うことができる。ガーナ流、コンビニエンスストアといったところだ。

交通渋滞
ガーナでも渋滞する道路は少なくない

ガタガタの道が多いため、リヤカーを引くよりも頭に担ぐほうが、重いものでも効率的に運ぶことができるのだ。また、庶民の生活に欠かせない「ピュアウォーター」と呼ばれる四角いビニール袋に入った飲み水の路上販売に関しては、法律で外国企業の参入が禁止じられており、国策として職業が保護されている。

フォーマルセクターにおけるビジネス流儀は「日本の真逆」だ。時間通りにミーティングが始まることはまずない。1、2時間ずれるのは良い方で、ミーティング日が変更になることもよくある。1週間前にミーティング約束なんてしようものなら、必ず忘れられてしまうので、前日のリマインダーは必須である。納期も同様だ。

メールを送って、返信があるという方が稀だ。大手金融機関でも、電話すら取らないところはざらにある。「会って初めて物事が進む」というスローな国なので、3日間の強行日程で出張を組めば、下手すれば誰にも会えずに終わってしまうこともあるだろう。