一方で、アポなしで飛び込んでいっても、大抵は嫌な顔をせずに会ってもらえるし、フレンドリーな人が多い。特に、外国人に対しては「お客様」という意識が強く、突然の訪問にも迷惑がられることはない。仕事となると、仏頂面になり、サービスが悪くなるが、友達になると、臨機応変に対応してくれる。どれだけ個人的な問題として捉えてもらえるかで、仕事の進み方が楽になるだろう。

遅刻によりどれだけ時間をロスするかは、ガーナでビジネスをする者の尽きない悩みだろう。当人の性質による部分もあるが、「インフラの不確実性」など、当人のコントロール範囲を超えることも多い。

「前のトラックが積荷を道路にぶちまけて、道が塞がれた」「車が故障して立ち往生した」とか「突然の豪雨で道が冠水して、トロトロが捕まらない」など予期できないことが発生する。日本では考えられないことが、普通に起こり得るのがガーナだ。

眠っている間に携帯を充電しても、朝になって充電されていないことがある。夜間停電があるためだ。こういった環境下でずっと生活をしていると、計画をしても計画通りにはいかないため、計画を立てること自体を止めてしまう。従って、計画性があるガーナ人はまずいないし、段取力も乏しい。これらは、能力の有無ではなく、環境の産物である。

一方で、日本と類似している点もある。多くの会社は封建的で、上司・年配者が絶対。日本人のように、ガーナ人も「No」と言えない人が多い。これは、断るのが申し訳ないと思って「No」と言えない場合と、悪気はないのだが、楽観的すぎて自分のキャパシティー判断を誤り「できる」と思って約束したことができずに終わったかのいずれかだ。

街角にいる人に道を尋ねて「う〜ん」とちょっと考えながら返事がきたら、その答えに対しては、笑顔でお礼を伝えて中身を無視しよう。「わからない」と言うのが申し訳なくてひねりだした、誤答であることに違いないからだ。何度も言うようだが、当人に、悪気はまったくない。

文化として覚えておきたいのは、ガーナは基本的に保守的だということだ。欧米文化の影響を受けていながら、人前でキスをするようなカップルはまずいないし、高校生が路上でそんなことをしようものなら、その辺の見知らぬ大人に、「エイ」と頭をひっぱたかれることだろう。

常夏のガーナだが、短パンで闊歩するのは、大抵、西洋人男性だ。ガーナ人男性は、休日でも長いズボンを履き、女性がミニスカートで足をひけらかせば、商売女だと思われてしまう。

ビジネスマンは「身だしなみ」を重視し、身体にピシッとフィットするアイロンの利いたシャツにジャケットを着用し、毎朝靴を磨く。舗装された道ばかりでないため、埃っぽく、すぐに汚れるというのにだ。どのような格好をしているかで、その人の暮らし振りがわかるため、生活レベルが上がるほど「身だしなみ」に気を使うのである。

そうそう、最後にもう一つ。物の受け渡しと握手は「右手」で行うのが"礼儀"なので、忘れずに。

<著者プロフィール>
大山 知春(おおやま・ちはる)MBA取得後、2013年、ガーナにて、ECとコンサルティングを軸とした MindNET Technologies Ltd を共同設立、ガーナ初のファッションオンラインストア VIVIA を立ち上げる。その後、ガーナと日本の通商活性化を目的とした VIVIA JAPAN を設立。ガーナ原産天然素材を使ったオール・ナチュラル・スキンケアブランド JUJUBODY を展開する。

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