一歩踏み込んだ米国の対応

米国では1990年代後半から、トランス脂肪酸を使った食品には表示が義務付けられていた。つまり、「この食品は安いけれど、トランス脂肪酸が含まれているよ」といったメッセージを消費者側に与え、自己責任でトランス脂肪酸の摂取を判断させていたのだ。

冒頭で述べた今回のFDAからの規制は、これまで述べてきたような背景を重視した結果、これまでから一歩踏み込んだ措置となった。同時に、それだけトランス脂肪酸の健康被害が米国では深刻化していることもうかがい知ることができる。


日本の対応はどうなる?

日本の食品メーカーは、強力なマーケティング戦略でマーガリンやスプレッドを販売しており、品不足がちなバターを圧倒している。前述の通り、日本では未だ表示義務さえない状態であり、消費者はトランス脂肪酸が含まれている食品と含まれていない食品を選別することすらできない。

さらに、啓蒙活動もかなり遅れており、国民全体のトランス脂肪酸に対する健康意識も低い。

米国での禁止措置の対応を受けて、日本がどのように対応するかは未だ明確ではないが、食品業界からの強い圧力がかけられることが予測され、日本人のトランス脂肪酸に対する健康意識の低さも相まって、直ちに規制が強化されることは考えにくい。


日本の消費者はどう対応すべきか

農林水産省によれば、トランス脂肪酸の一日当たりの許容量は2gとのことである。前述したように多くの加工食品にトランス脂肪酸が含まれていることから、2gを超える量のトランス脂肪酸を知らずに継続的に摂取している人が相当数いるものと推測される。

菓子や加工食品、外食など若い世代が好む食品にはトランス脂肪酸が多く含まれており、心臓病などの生活習慣病の若年年齢化に拍車をかける可能性がある。日本では、普段の食事からトランス脂肪酸を完全に取り去ることは困難な状況となっている。

せめて、パンに直接マーガリンやスプレッドを塗って食べる習慣だけは見直すべきだろう。(ZUU online 編集部)

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