(写真=PIXTA)
「不動産流通革命」とはどういう意味か?
7月7日、Yahoo! JAPANとソニー不動産が「業務提携・資本提携合意」を発表したが、両者が展開する新たなサービスの事前告知サイトでは「不動産流通革命プロジェクト」とうたわれている。
単に不動産会社とネットメディア企業の業務・資本提携には収まらない表現だ。「不動産流通革命」とはどういう意味だろうか?
この背景を、いくつかのキーワードから読み解いていきたい。
storie編集部では、今年の1月下旬にジャーナリストの田原総一朗氏とともに、ソニー不動産 執行役員 風戸裕樹氏に取材している。(この記事は 2015年7月7日storie に掲載された記事です)
そのインタビューで風戸氏は、今の不動産業界の問題点として、「一番の問題点は、透明性が低いところ」と答えている。その理由について、「不透明な理由は、仲介会社が持っている情報の全てを売主様・買主様に伝える必要がないからです。例えば、売主様が5000万円で売りたいとします。買主様は、4000万円で買いたい。
売主様は、5000万円でなければ売りたくないのですが、最悪4600万でもいいですよと言っている。買い手は4000万と言っているが、この物件なら4600万近くてもいいよと思っている。間に立っている仲介会社は、この状況ですぐに4600万でマッチングさせようとする」と答えている。
「不動産流通革命」の言葉の意味を、ソニー不動産 風戸氏の発言から忖度すると、どうも不動産取引の「透明性」を徹底させることにヒントがあるようだ。「透明性」というとわかりにくいが、反対の業界の「不透明」な点で、真っ先に頭に思い浮かぶのが「囲い込み」という言葉だ。
違法な「囲い込み」に象徴される不透明さ
囲い込みとは、売主から売却の依頼を受けた不動産物件を、他の不動産会社に取り扱わせない様にする行為のことで、これにより売主の成約機会が妨げられる。
4月に「週刊ダイヤモンド」で「大手不動産が不正行為か 流出する“爆弾データ”の衝撃」という記事が出て、業界内でも話題になったほか、5月にはテレビ東京の経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト」でも取り上げられた。ここで、ワールドビジネスサテライトの該当の特集を紹介したWebサイトから引用したい。
「不動産仲介会社は共通データベース「レインズ」で物件情報を共有しているため、どの不動産会社でも同じような物件を扱っている。これは不動産売買が円滑に行われるための仕組みだ。しかし、このルールを不動産仲介の大手が破っているという告発文書がある。記されているのは大手による「囲い込み」行為。
レインズなどを通した他社からの問い合わせに「商談中」とウソをつき紹介をしないことをそう呼ぶ。<中略>悪質なケースでは物件が値下がりしても、自社の買い手に拘り囲い込みを続けることがある。最も被害を受けるのは売り主なのだ」