生産活動(韓国・台湾・タイ:6月、その他の国:5月)

アジア新興国・地域の生産指数の伸び率(前年同月比)を見ると、3ヵ月・6ヵ月平均を下回る国・地域が多いなど鈍化傾向が見られる(図表1)。

生産指数

インドネシア(5月)は同+8.2%と3ヵ月・6ヵ月平均を上回り、堅調に推移した。マレーシア(5月)は同+4.5%と、鉱業や輸送用機器を中心に堅調を維持した。

一方、タイ(6月)は同▲8.0%と、食料・飲料といった内需型やハードディスクドライブ・自動車などの輸出型産業が揃って低下し、4ヵ月連続のマイナスとなった。

フィリピン(5月)は同▲3.1%と、木材・木工品や靴・衣料品、ゴム製品、基金属が二桁減となって3ヵ月ぶりのマイナスに転じた。

台湾(6月)は同▲1.4%と、主力の電子部品やコンピューター、電子・光学機器を中心に減少して、2ヵ月連続のマイナスとなった。

韓国(6月)は同+1.2%と自動車や皮革、石炭などを中心に3ヵ月ぶりに上昇したが、依然として低迷している。

またインド(5月)は同+2.7%と、オフィス・会計・コンピューターやラジオ、テレビ・通信機器の二桁マイナスなど製造業を中心に伸び率が低下した。


貿易(韓国・台湾・タイ・インドネシア・インド:6月、その他の国:5月)

アジア新興国・地域における輸出(通関ベース)の伸び率(前年同月比)を見ると、海外経済の弱まりや資源価格の低迷による製品価格の値下がりを受けて、韓国・インドを除く国・地域で3ヵ月平均を下回った(図表2)。

輸出

フィリピン(6月)は前年同月比▲17.4%と、主力の電子機器の輸出減を受けて二桁マイナスとなった。またマレーシア(5月)は同▲16.3%と、天然ガスや天然ゴムを中心に減少して3ヵ月・6ヵ月平均を下回った。一方、韓国(6月)は同▲2.4%と、一般機械や精密機器、輸送用機器の改善を受けてマイナス幅が縮小した。

輸入の伸び率(前年同月比)については、輸出と同様に資源価格の低迷を背景とする製品価格の値下がりを受けて大幅マイナスが続いている(図表3)。

輸入

マレーシア(6月)は同▲17.4%と、輸入の半分以上を占める中間財を中心に減少して3ヵ月・6ヵ月平均を下回った。またフィリピン(5月)は同▲13.4%と、原材料・中間財の輸入減少を受けて3ヵ月・6ヵ月平均を下回った。一方、タイが同▲0.2%と、消費財や資本財の輸入増を受けてマイナス幅が縮小した。

経常赤字に悩むインドネシア・インドの貿易収支を見ると、インドネシアは石油・ガスの赤字を非石油・ガスの黒字が上回って7ヵ月連続の貿易黒字を確保した。またインドは貿易赤字が108億ドルと前月の104億ドルから拡大した。


自動車販売(6月)

6月の自動車販売台数の伸び率(前年同月比)を見ると、国・地域によって好不調が大きく分かれる結果となった(図表4)。

新車販売台数

フィリピンは前年同月比+23.3%と前月から更に5.2%上昇し、19ヵ月連続の二桁増を記録した。また韓国は同+11.4%と新型モデルの発売によって6ヵ月ぶりの二桁増を記録した。

一方、インドネシアは同▲25.7%と前月から更に7.6%低下するなど、昨年11月の燃料補助金削減やガソリン価格の値上げによる消費者の購買意欲の低下を受けて10ヵ月連続のマイナスを記録した。

またタイは同▲25.7%と家計債務の拡大や農産物価格の低迷による農家の購買力低下が響いて26ヵ月連続のマイナスを記録した。マレーシアは同▲1.9%と4月の物品・サービス税(GST)導入前の駆け込み消費の反動が小さくなってきたがマイナスとなった。