焼き鳥
(写真=Thinkstock/Getty Images)

東証ジャスダックから2015年7月、東証2部に市場変更したばかりの鳥貴族 <3193> は、全国400店舗以上を展開する焼き鳥専門の居酒屋チェーン。食べ物・飲み物すべて280円均一(税別)で、開店前に行列ができることも珍しくない。社員の多くはアルバイト経験者のうえ、4人いる取締役(社外除く)は全員元アルバイト。 大手居酒屋チェーンが低迷するなかでも躍進を続ける理由は何だろうか。


起死回生の250円均一

鳥貴族のメニューが280円均一なのは、社長の大倉忠司が創業以前に偶然、立ち寄ったろばた焼きの店のメニューが「全品230円」だったことに由来する。その時、安さだけでなく、メニューからお得な品を探すという楽しさを知り、自分もいつか均一料金で提供する飲食店をつくりたいと考えるようになった。

大倉社長が創業したのは1985年。25歳のときだ。高校時代にアルバイトをして接客の楽しさに魅了され、飲食業に興味を持った。卒業後は調理師学校へ進み、さらに就職先のホテルなどで修行を積んだ。

第1号店を出したのは東大阪。当初は原価率やコストを考えメニューごとに価格を設定していたが、客足が伸びず苦戦。そこで打ち出したのが、かねてから温めていた「250円均一」メニューのアイデアだった。結果としては、これが功を奏し、客は徐々に増えていった。


鶏肉の切り分けはセントラルキッチンではなく店舗で

鳥貴族のメニューは、価格こそ安いものの品質に妥協は見られない。トレーサビリティの確立はもちろん、鶏肉はすべて国産を使用。ネギやキャベツなど、使用する食材の国産比率を高める「国産国消」にも取り組んでいる。

焼き鳥専門店だけに、特に鶏肉へのこだわりは強い。鶏肉は劣化が早く、加工されるたびに味が落ちてしまう。そこで鳥貴族では、鶏肉の切り分け、串打ちは各店舗で行っている。セントラルキッチンでは焼き鳥のタレを作るだけだ。効率的とはいえないが、安さだけを追求しているわけではないことが分かる。

また焼き鳥のみに絞り、他の業態に手を出さないことで、鶏肉を大量に安価で仕入れられる体制を整えている。店舗家賃の安い地下や2階を中心に出することでコストを抑えているという。


「焼き鳥屋に就職だなんて」と家族に反対された役員

鳥貴族が上場したのは2014年7月。「上場することで、低く見られがちな飲食店の地位を上げ、社員に報いたかった」と大倉社長はいう。創業時から鳥貴族を支えた中西卓己専務は鳥貴族に就職する際、「焼き鳥屋に就職だなんて」と家族に反対されたというが、それでも大倉氏と「鳥貴族は全国に出店する」「外食産業の地位を上げたい」という夢を共有し、共に歩んできた。

取締役4人が全員元アルバイトという点も目を引くが、フランチャイズ店オーナーが全員元社員という点も珍しい。社員以外にフランチャイジーを募集すれば、出店準備の段階で経営理念を植え付ける必要があるが、鳥貴族のフランチャイズオーナーは既に鳥貴族スピリットを持っている。

人材活用法には、「人の長所しか見ない」と語る大倉社長の個性が現れている。2015年7月時点の店舗数は全国414店で、2021年までに国内1000店舗を目指している。ユニークな人材活用法、思い切った価格設定、そして安さを追求しながらも安易なコスト削減をせず、品質にはこだわる徹底した姿勢。このあたりに、鳥貴族が躍進を続ける秘訣がありそうだ。(ZUU online 編集部)

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