個別企業では、輸出関連セクターを中心に保守的な企業が減少
◆個別企業も期初予想が保守的なほど大きく上振れしやすい
ここまで日経平均ベースで議論してきたが、個別銘柄についても同じことがいえるのか検証してみよう。
図4は13年度と14年度について、図3と同様に期初時点の強気度を縦軸に、実績の上振れ度を横軸として個別企業をプロットしたものだ。日経平均ベースと同様に右下がりとなっており、個別企業でも期初予想が保守的なほど期末実績が大きく上振れる傾向がある。
特に期初予想が市場予想の90%以下な企業では期末実績が150%や200%に上振れるケースが多く見られる。逆に期初予想が100%を超える強気な企業では、期末実績が期初予想を下回る"下方修正"に終わったケースが多く注意が必要だ。
◆輸出関連セクターを中心に保守的な企業が減少
次に、保守度合い別に企業数を調べたところ、期初時点の会社予想が市場予想の90%を下回る保守的な企業が減り、市場予想に近い95~100%相当の企業が増えたことが分かった(図5)。
このことは年度途中や期末実績で業績が大幅に上振れしそうな銘柄、すなわち投資妙味の大きな銘柄が減った可能性がある。株式投資先の選定に際してはより慎重な銘柄選びが必要になったといえるだろう。企業数の変化を東証17業種別にみると、輸出関連セクターで保守的な企業の減少が目立った(図6)。
素材・化学セクターでは会社予想が市場予想の90%以下な企業がゼロになったほか、自動車・輸送機セクターでは13年度の18社から15年度には6社に、同じく鉄鋼・非鉄、機械、電機・精密セクターでも保守的な企業が減少した。一方、建設・資材、運輸・物流、銀行などの内需系セクターでは保守的な企業が減った様子は見られなかった。
このように保守的な企業の減少が輸出関連セクター中心であることは、仮説として前述した為替(円安進行)に関する企業と市場の見通しギャップが背景という考え方を支持する結果だと考えられる。