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(写真=PIXTA)


輸出企業を中心に上振れ余地が低下した一方、上方修正の常連銘柄も健在

業績予想の上方修正や期末実績の上振れは今や"恒例行事"だが、15年度は大きなサプライズを期待するのは禁物だ。その理由として期初予想が例年よりも高かったことが挙げられる。過去を振り返ってみても期初予想が保守的でない年度は実績の上振れ幅が小さかった。

個別企業でも同様の傾向がみられ、15年度は輸出関連セクターを中心に業績見通しの保守的な企業が減った。これらの事実は日経平均株価の上値が限定的であることと同時に、投資妙味のある個別銘柄が減ったことを意味する。しかし眼を凝らすと、上方修正の常連で15年度も保守的な銘柄はある。


業績予想の上方修正は恒例行事

通常、3月決算企業は5月中旬までに前期の決算と今期の業績予想を発表する。その後も中間決算の発表時などに最新の業績予想を公表するが、当然、期初(5月)時点の予想から増額や減額することがある。

図1は、東証1部に上場する3月決算の主要企業(約400社)について、企業自身が発表した予想経常利益の合計額の推移だ(5月末=100として指数化)。

図1をみると、過去15年のうち11回は最終的な実績が期初予想を上回った。特に中間決算を発表する10月~11月と期末実績で増額したケースが多い。一方、下方修正はリーマンショックが起きた2008年度や東日本大震災に見舞われた2011年度など例外的で、業績予想の上方修正や期末実績の上振れは"恒例行事"となっている。

この理由としては、下方修正を避けたいと思う経営者心理や、そもそも1年先までに何が起きるか分からないので、そのビジネス・リスクを考慮して利益予想を割り引くのは当然ともいえる(詳しくは2014年4月24日付けレポート「経営者の心理から読み解く株価の行方」を参照されたい)。

【図1】企業自身の業績上方修正は恒例行事